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銀行の健全経営に陰りはないか

欧州主要銀行21行の2023年第2四半期決算は、純利益で前年比3割増と堅調な結果に終わった。貸倒損失への引き当てをそれなりに積んだ保守的な対応にも関わらず、である。基本的にはコロナやロシアによるウクライナ侵攻などのネガティブ要因がなりを潜め、中央銀行の金利上昇により利ザヤの確保ができるようになったことが背景にある。しかも資本比率を見ても13-15%程度は確保している銀行が多く、欧州の景況感の落ち込みによって不良債権が多少増えても問題がない、と言えそうだ。

そうした銀行の収益の堅調を踏まえ、欧州各国は銀行への追加課税を検討しだした。イタリアがいわゆる棚ぼた課税(21年比の利ザヤの増加分に40%)をするとして、イタリアの銀行株式の売りを誘った後、課税はするが総資産の0.1%までという上限を設けたことで問題が沈静化したばかりだが、リトアニア、スペイン、チェコもそれぞれの銀行に対する棚ぼた課税を検討中。外的な要因によって通常よりも過度な利益を確保できるような場合に、即座に課税が検討されるのはある意味小気味いいが、かといって、損失が出たときの補填がない割には課税だけあるとすれば業界にとっては不満でしかない。環境に耐え忍んでやっと生き延びたのに、環境好転で利益を確保しようとすればすぐに課税では文句が出るのも当然。

しかも、利益が出たからといって過度な課税をしている場合ではないのではないか。7月に公表された銀行貸出調査では、金融引き締めが実体経済に浸透しつつあることに加え、銀行からの貸出が厳格になっていることを示すものであった。銀行の収益にはある程度のりしろがなければ、貸出が更に厳格化され、結局は資金繰りに目詰まりが出てしまうだけ、に見えるのだがどうだろうか。

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