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高齢者と子ども向け送迎サービス参入の着眼/合法的な相乗り割り勘サービス

 これからの高齢者にとっては、運転をリタイアした後の移動手段を確保することが重要な課題だ。路線バスの利用だけでは、行ける場所や時間(時刻表)の制約があるし、毎回の移動でタクシーを使うのは費用がかかりすぎる。介護保険の適用になる「介護タクシー」が使えるのも、要介護の条件に当てはまる人に限られている。

そこで、高齢者世帯の中では、マイカーは所有し続けながら、運転は、家族や友人などに任せて外出するスタイルが増えてきている。しかし、常に身内に運転を頼めるわけではないため、時間制で運転手を雇えるサービスがあると便利だ。従来の運転代行サービスというと、飲酒をした後の利用が大半だったが、最近では高齢者の買い物に同行する、運転代行兼付き添いサービスの形態も出てきている。

自家用車を運転する仕事は、法人が所有する社用車の運転手として、役員やゲストの送迎をする他にも、幼稚園や介護デイサービスで使う送迎車の運転を担当しているケースが多いが、今後は高齢者宅からの需要も増えてくるとみられている。

介護施設の職員が高齢者の送迎をしたり、家政婦がマイカーに高齢者を同乗させて買い物に出かけるようなケースでは、送迎料金を請求しないのであれば、普通の運転免許(第一種)でも行うことはできるが、運転を仕事に繋げたいと考えるドライバーは「第二種免許」を取得しておくほうが有利になるのは間違いない。また、有料で行う運転代行サービスは2004年から第二種運転免許の取得が義務付けられている。

現状では、普通運転免許(中型まで)の取得者数は約8,000万人いるのに対して、プロドライバーのライセンスといえる第二種普通免許の取得者は約103万人しかいない。しかも、その中で女性の二種免許取得者は約5万人に過ぎない。

しかし、今後の送迎サービスとして需要が増えるのは「高齢者と子ども」であり、接客や気遣いの面では、男性よりも女性ドライバーのほうが好まれる傾向にある。そのため、女性の就活に活かせるライセンスとして「第二種普通免許」の付加価値は高い。タクシードライバーでなくとも、女性の第二種免許取得者は、顧客の送迎を行う介護施設やサービス業での採用率が高くなっている。

【旅行、帰省ライドシェアの割り勘サービス】

米国で普及しているUberやLyftのように、自家用車に有料で客を乗せることは「白タク行為」として禁止されている。ただし、幾つかのポイントを押さえることで、類似のサービスを立ち上げられる可能性はある。

道路運送法によれば、有償でお客を乗せられるのは、タクシーやハイヤーなど営業用の「緑ナンバー」を取得している車のみで、運転者は第二種運転免許を保有していなくてはならない。

しかし、無償(運賃の授受は行わない)であれば、その規則に該当しないため、レストランやホテルなどが、来客者向けのサービスとして、白ナンバーの自家用ミニバンなどで、無料の送迎サービスを行っている例は多く見受けられる。この場合には、運転者も第一種の普通免許で構わない。

ライドシェアリング(相乗りサービス)にしても、完全に無料で行われるものであれば、許認可を受けなくても実行することは可能だ。

それでは、同乗者が“運賃”は払わなくても、感謝の気持ちとしてガソリン代などの経費を負担するのはどうか?これについては、国土交通省が『任意の謝礼にとどまる金銭の授受は有償に該当しない』という見解を出している。たとえば、交通手段の無い高齢者を、近隣の主婦がマイカーに同乗させて、週1回の買い物に出かけることの謝礼として、ガソリン代を受け取ることに問題は無い。

この見解を根拠に、ライドシェアリング仲介サービスを提供しているのが「のってこ!」というサイトで、マイカーで旅行や出張、帰省をする人が、空席分の同乗者を募集することができる。同乗の条件として、ガソリン代や高速料金などの費用を割り勘にした「希望負担金額」が提示されている。

たとえば、東京から名古屋までマイカーで帰省するケースで、3人までの同乗者を1人あたり3千円の割り勘額で募集する。するとドライバーは合計で9千円の経費が調達できることになる。同乗者にとっても、東京→名古屋間の高速バス(約5千円)を利用するよりも割安感があり、相乗りサービスを利用するメリットがある。

世界各国では、交通渋滞や環境汚染を緩和する目的から、有償のライドシェアサービスも合法的に行える規制緩和が推進されたおり、ライドシェアドラーバー向けの運転免許制度が創設されるようになってきている。日本政府は今のところ、ライドシェア解禁には慎重な姿勢をみせているものの、現状では第二種運転免許の取得が、新たな送迎サービスを開始するのに最も近い道筋になる。

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JNEWS編集長(井指 賢)

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