自動翻訳サービスの進化で変わる英語メディアの消費スタイル
コロナ禍を経て今まで当たり前だと思ったことに大きな変化がもたらされるようになったと感じることがあります。自動翻訳サービスの進化による英語メディアの消費スタイルの変化です。
英文の記事は時に数千〜1万文字を超えることもあり、読むのに時間がかかり、なかなか読む気になれなかったり、途中で挫折しまうことが多いと感じる人も多いと思います。ただ、近年のDeepLやGoogle翻訳に代表される高度な自動翻訳サービスが進化したことで、一瞬で精度の高い日本語に変換され、概要を掴むことが可能になりました。そしてその背景には、世界中のコロナ対策や気候変動問題など、グローバルで連鎖する事象が増える中で、今まで以上にグローバルな情報収集の需要も高まっていることも関係しているように思います。
国内での利用が増加し続けているDeepL
実際にこうした自動翻訳サービスがどう活用されているか、DeepLの利用状況のデータを調べてみました。本日10月27日時点において、アクセスランキング測定サービスとして知られているAlexaでDeepLについて調べてみたところ、今年7月の24位から20位にランキングが上昇していることが分かります。訪問者毎の平均滞在時間は9分35秒で、「Yahoo.co.jp」の10分32秒に迫る利用のされ方です。
サイトのアクセス状況の概要を把握できるサービス「シミラーウェブ」によると、2021年10月27日時点での月間合計訪問者数は約2億人で、こちらも21年6月時点の1.7億人強から増加していることが伺えます。
国ごとの利用者数においては、DeepL開発拠点のドイツをしのぎ、引き続き1位(16.59%)であることが分かります。世界の情報に疎いと批判されがちな日本人ですが、こうして見ると、貪欲に海外の情報に目を向けていることが伺えます。
少しずつでも確実に進んでいる機能向上
こうした需要の高まりを受け、使いやすいサービスも徐々にリリースされているようです。10月中旬にはDeepLのウェブブラウザーであるChromeの公式拡張機能が公開されました。インストールした上で翻訳したい部分をハイライトして右クリックをするだけで、ブラウザ内に表示されるポップアップ画面内に翻訳された文章が簡単に表示されます。デスクトップアプリをダウンロードしておけばCtrl+C/⌘Cを2回押すことで別ウィンドウで翻訳文を表示させることは今までも可能でしたが、ブラウザ内で作業を進めたい時など、これはこれでとても便利と感じます。
N高でも『Google翻訳で読む』と題した講座がスタート
自動翻訳サービスの進化をなんとなく感じていたところ、学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校(N高)による「Google翻訳で読む!『Foreign Affairs』」という特別講座の開講というニュースを目にしました。難易度が高い外交専門誌の「Foreign Affairs」をGoogle翻訳を利用して読み解く、という設定、そこに著名な船橋洋一氏が講師として参画しているという点もとても新鮮なニュースでした。『DeepLで読む「FT」「Economist」「気候変動/脱炭素」』のようなテーマでの勉強会や学びのコミュニティも生まれるのでは、と想像しつつ、同時に、会社内で必要性のあるテーマについての情報収集もきっと進化していくのでは、ということを強く感じます。
以上、主にDeepLの進化とその使われ方について備忘録的にまとめてみました。DeepLの日本語版サービスの提供開始が2020年6月であることを考えると、今後更なるサービスの進化に期待したいところです。今年の7月に日経新聞に掲載されていた以下の記事では意味深に言及されていた「クローム」向け1クリック翻訳機能がリリースされた今、次なる新サービスに大いに期待したいところです。個人的にはページ一括翻訳機能などがあると嬉しいです。
今後の事業展開についてクチロフスキ氏は口をつぐむが、グーグルのブラウザー「クローム」向けに1クリックで翻訳ができるようにするプラグインは出ないのかと聞くと、「実現するかもしれない」とほのめかした。