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複業と兼務は”真逆” 〜いい複業、わるい複業を考える

「複業/副業」は進むか

© comemo992439091

「複業/副業」がバズワードのように盛り上がっていますね。

実に色んなところで「複業/副業」という言葉を耳にします。(※煩雑なのと「副業」という言葉はあまり適切ではないと思っているので、ここから「複業」に統一しますがご了承ください)

とはいっても、↓のようなデータでみると、複業が当たり前化するのにはまだ少しかかりそうです。

https://www.fnn.jp/posts/00401619CX

複業に賛成ではない理由としては

「過重労働となり、本業に支障をきたすため」(82.7%)「労働時間の管理・把握が困難になる」(45.3%)

だそうです。

これはマネジメント目線ではありますが、こういう発想になるのはとりもなおさず、「管理」しようとするからです。

「管理」しようと思うと、自分たちの目が届かないところで何かあると困るので、なるべく他のことをやらせたくない。

複業するなら兼務しろ!?

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食品関係(40代)「副業をするような、エネルギーがあるのであれば、本業に力を発揮してもらいたい。(副業で)何かトラブルが起きた時に、本業に穴を開けてしまうとか、考えられますよね」

こういう発言、よく聞きます。元気があるなら自社でもっと働け。

で、どうなるか?というと優秀な人はとにかく沢山の仕事を「兼務」してる、みたいなことがよく起こります。

複業は集中できず成果にコミットできないから反対、みたいに言ってる会社でも、なぜか兼務はOKなんですよね。

なぜかというと、目の届くところだから。

会社が目の届く範囲で、管理できるなら問題ない。使うだけ使おう。

そこまでは思わないまでも、人がいない、という理由で兼務を連発している、というケースはよく見ます。

しかし、僕はどっちかというと兼務は反対です。

兼務は効率が悪い?

なぜ兼務に反対か?

それは兼務だとパフォーマンスが落ちるからです。

え?複業してるのにそれはよくて兼務だとパフォーマンスが落ちるの?それって矛盾してない?そう思われるかもしれません。

基本的に、マルチタスクというのは誰でもできるわけではありません。タスクを切り替えるにはそれなりの時間とコストがかかります。

じゃあ複業も非効率じゃん!ということになるはずです。

実は・・・それはあるところまでその通りです。(だからその非効率を解決するためにはいろいろな工夫が必要なのです)

複業も非効率。ですが複業の場合はそれを超えるシナジーが生まれる時がある。

以前、こちらの記事で、「複業の最大のメリットは、それぞれの仕事の間でのシナジー」ということを書きました。

https://comemo.io/entries/10040

こういうシナジーは異なる環境に身をおくからこそ、違う空気と触れるからこそ起こる化学反応のようなものです。

兼務の場合、一つの企業の中にいるわけで、このシナジーの恩恵が受けられない。メリットが少なくデメリットしかないならそれはやはりあまりおすすめはできませんよね。

兼務は分割、複業は拡張

僕が考える兼務と複業のちがいはこちらのようなイメージです。

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「複業」は、自分の強みを活かしていろいろな企業や仕事でそのバリューを発揮していきます。

それぞれの仕事の真ん中に自分のコアバリューがあり、これに掛け算していろいろなところでバリューを発揮できるわけです。

ところが兼務の場合はこのような広がりがありません。

左側の図のように、自分の時間を分割して、小さな小部屋に分けていくような感じです。

もちろん、兼務でも複業のように掛け算的なバリューを発揮しながら活躍しているケースもないわけではありません。

ですが、いま兼務をしている人はどうか、というと、そんな風にいきいきしている人は少なく、どちらかというと疲弊しているような気がします。

これは「兼務」が複業とはちがう、次のような性質を持つからだと思います。

・自分でやることを選べない
・大体の場合、人手不足からアサインされるので作業的忙殺が起こる
・収入もあがらない

要は、外界に広がらないんですね。

閉塞の中で自身のコアバリューとは関係ないものに時間を取られていき、むしろバリューを発揮する割合が減ってしまう。

「いやうちの会社はちがうぞ、人手不足を押し付けてない。

ちゃんとその人を活かしてその人しかできない価値がでるポジションだから兼務してもらっているんだ」

とおっしゃる企業もあるかもしれません。

ですが、もしそうだとしたらその分2倍の給料を払うべきではないでしょうか。

そうしていないならそれはやはりそれだけの価値を認めていないということであり、「ひとつ」の時間を分割させているにすぎないのではと思うのです。

いい複業、わるい複業

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こう考えてみると、これは「いい複業」の条件でもあるように思います。

・シナジーが生まれるような異なる環境で
・コアバリューを活かし
・掛け算でいろいろな仕事で活躍する

この逆で、自分のコアバリューではない仕事のために、自分の時間を切り売りするような複業は効率を落としてしまうだけかもしれません。

僕が考えるコアバリューの要件の一つに「やらないことを決める」というものがあります。

無為にいろいろ手をだしてしまうと、むしろコアバリューは減っていくのです。

複業をするときにもコアバリューを意識することが大事です。

そして経営者のみなさん、「兼務」をしてもらう時はその人のコアバリューを減らしていないか、そういう目線で今一度兼務を見直して見てはいかがでしょうか。

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