テレワークの試行錯誤って、ここからが勝負ではないでしょうか。
緊急事態宣言も続いている中で、ずいぶんテレワークも浸透してきましたね。多くの企業でテレワークが実際に実施され始めて1年以上たつので、なんとなく「こういうもの」「メリットは●●、デメリットは××」っていう風に、なんとなく評価が固まってきているような気がするのですが、そこにちょっとした危惧を覚えることがあります。
それは、その状態・その環境のテレワークで評価して良いのでしょうか?ということです。
例えば、私たちもオンライン会議などでいろいろな企業の方とお話をする機会は増えているのですが、大半の参加者がカメラをオフにして参加しているような状況に出くわすことがあります。大規模なイベントならまだしも、10人に満たないような打ち合わせで、顔が見えないと、話しづらいったらないですよね。
これはさすがに・・・と思って伺ってみると、いろいろな事情が見えてきます。例えば、上司のPCにはカメラがついていないとか、社内の機密情報が映ると困るからカメラは使えないようになっているとか、参加者の方からすると致し方ない理由の場合もあるみたいです。逆に、そのような状態だから、PCとスマホとそれぞれから2つのアカウントで会議に参加してくれている、みたいなこともあります。
こういう状態で、テレワークの生産性の善し悪しを語っても、ちょっと違うような気がするんですよね。
また、オンラインだと当日参加予定だった人が急に不参加になったりということが増えているような気がします。これってなんとなく、「オンライン会議」になった瞬間にその会議の重要性が下がっているような感覚を持っている方がいるのかなぁと思ったりするわけです。
オンライン、リモートワークはあくまでも今までの働き方を代替して仕方なくやっているものっていう感覚が残っているのかもしれませんね。
私は、大企業の方に一定期間ベンチャー企業で働く機会を提供しているのですが、ベンチャー企業で働くといろいろなツールがとても便利だという感想を持たれる方が圧倒的に多いです。例えば、Slackなどのチャットツールを使うことでコミュニケーションが圧倒的にスムーズになった、miroなどのオンラインホワイトボードを使うことでむしろリアルでやっていた時よりも議論が盛り上がるようになった、といった感じです。
もちろん最近は情報セキュリティの部分でリスクが高まっているので、安易に何でもかんでも取り入れましょう、ということはできないのかもしれません。でも、試してみることはできるはず。
こちらの記事にあるように、若い方がどんどんやっていくことも大事ですが、一方で上の世代が率先して思考錯誤する姿を見せるということも必要なんだろうな、と思います。
どうしても情報セキュリティって言われちゃうと課題が多くて、どこまで試行錯誤してよいのか、若い世代には判断がつかないこともありますよね。そういう意味で、ある程度全体感を見えている方が、率先していろいろなものを試すということが有効ではないかなと思うのです。
ある大手企業では、ベンチャーで働いた社員がみんな「Slackが便利だ―」っていうので、事業部長さんが興味をもって個人アカウントでSlackのチャンネルを作って一部のコミュニケーションを移行するという動きをしてくれました。あぁ、こういう動きをとってもいいんだ、というのを社員に見せるということには、とても意義があると思います。
特に大手企業の方々とお話ししていると、テレワークの良さを50%くらいしか引き出せていないような気がするんです。ある程度、基本的な部分はできるようになってきたわけですから、ここからが大事。マネジメント層や情報システム部門の方々の、腕の見せ所なんじゃないですかね。
これからワクチンなども広まってくるとリアルに動ける場面もまた増えてくるのかもしれませんが、その時に元に戻るのではなくちゃんと進化していられるか。せっかくの変化のチャンス、まだまだできることはあるんじゃないかなと思う次第です。それでは。