北海道の最大電力需要はだいたい500万kW。東京電力の約1/10です。これだけの小さな需要規模で、最大の火力発電所である苫東厚真火力発電所(合計165万kW)がダウンすれば、バランスを保つのは相当厳しいです。

苫東厚真火力発電所の復旧に時間がかかるようですので、北海道電力さんは廃止寸前の老朽火力発電所を至急立ち上げることも含めて供給力をかき集めておられるようですが、本日16時時点の情報ではまだまだ足りません。(下記。但し、小さな水力などは省いている可能性もありますので、主な、ということで。)

こういう老朽火力などは、持っているだけで一定程度メンテナンスコストがかかります。滅多に使わない=稼働率が低いとなれば、事業者としては自由化の市場においては、とっとと撤去したい設備です。ただ、こういうことがあるので電力事業者は設備を撤去するということには相当慎重に判断します。少なくとも、安定供給マインドが染みついていたこれまでのところは。もちろん地元との関係を重要視しているという理由もありますが、撤去してしまえばいざというときにどうしようもないからです。

理屈の部分を申し上げれば、自由化して「1kWhの電気を1円でも安く売ったほうが勝ち」の市場原理の世界になり、その上、政策的保護を受けて再生可能エネルギーが大量に導入してくると、普段は再生可能エネルギーがkWhを作って売るという役割を果たすので、既存の従来型電源は電力の安定供給を維持するという役割を担うことになります。ただ、安定供給を維持するという価値に対して、対価が支払われる仕組みがまだできていないので、この状態が長く続くと従来型の電源を撤去してしまう動きが続き、気がつくと、国の中に供給力が足りない、ということになります。それが明らかになるのは、例えば猛暑や厳冬で需要が急増した時や、このように事故でいずれかの発電所が脱落した時にカバーする存在が足りない、というタイミングなので、平時は問題意識を持たれないのですが。。

ということで、供給力維持に向けた制度設計、すなわち、kWh作ってなんぼではなく、人間がコントロールできる設備を持っておくことの価値、それがどれほどクイックに動けるかの価値(調整力)の価値に適切な対価が支払われる仕組みが必要なのです。

もちろん、再エネが今よりずっと安くなり、さらに、蓄電池も今の1/100とか1/1000くらいまで価格が落ちれば、従来型電源でシステムを維持する必要はないでしょうが、その時代に突然行けるわけではないのです。

下記、北海道電力さんが書き集めているという発電出力リスト。

高見発電所水力20万kW

東の沢発電所水力2.1万kW

雨竜発電所水力5万kW

金山発電所水力2.5万kW

砂川発電所3石炭火力12.5万kW

砂川発電所4石炭火力12.5万kW

奈井江発電所1石炭火力17.5万kW

奈井江発電所2石炭火力17.5万kW

伊達発電所1石油火力35万kW

伊達発電所2石油火力35万kW

知内発電所1石油火力35万kW

知内発電所2石油火力35万kW

北本連系60万kW

復旧予定電源計289.6万kW

9月5日需要実績(最大)383万kW

https://www.msn.com/ja-jp/money/news/電力復旧に1週間以上=北海道地震で最大火力停止-世耕経産相/ar-BBMVUsm#page=2

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