民主主義は暗闇の中で死ぬのか
LA TimesとWashington Postの大富豪オーナーたちが、編集部の意向を却下しハリスを支持表明する記事の公開をブロック。LA Timesは発表から2日で顧客約2000人によるサブスクリプションのキャンセルを受けた。「ファシズムはメディアの抑圧から始まる」と危機感が抱かれている。
https://www.theguardian.com/us-news/2024/oct/25/los-angeles-times-owner-blocks-harris-endorsement
昨日の集会でトランプが「奴らは汚い、奴らは悪だ、市民の敵だ」とさらに支持者に向けてメディアを悪者に仕立て上げた。こうした扇動とオーナーの価値観による勝手な判断によって、編集部や記者はどんどん窮地に追い込まれる。実際複数人の有名編集者等が辞職を表明している。
新聞が支持表明しようがほとんど票が動くこともないが、それが大事なのではなく、権威からの脅迫や制裁を事前に恐れて意見の表明を自ら(マネジメント層が自分たちの)利益を守るために検閲を入れてしまうことが民主主義の維持にとって大きな問題である。
2024年10月中旬:両紙の論説委員会は、カマラ・ハリス氏への支持表明の記事を準備した。
2024年10月22日:ロサンゼルス・タイムズのオーナーであるパトリック・スン・シオンが、ハリス氏への支持表明の掲載を差し止めた。この決定により、論説編集者のマリエル・ガルザ氏と、ピューリッツァー賞受賞者のロバート・グリーン氏を含む2人の論説委員が辞任。同紙では、購読者の約4.5%にあたる約1万8000件の購読キャンセルが発生した。
2024年10月25日:ワシントン・ポストのオーナーであるジェフ・ベゾスは、大統領候補の支持表明をしないことを決定し、編集委員会が予定していたハリス候補の支持表明を取りやめた。この動きにより、編集委員のロバート・ケーガンをはじめとするスタッフが辞職した。同紙は、購読者数が25万人以上減少し、デジタル購読者の約10%を失ったと報告した。
両オーナーは、中立性を維持し、読者を遠ざけないようにしたいという意向を理由に挙げた。ベゾス氏は、推薦は偏見の印象を与えかねず、選挙結果に大きな影響を与えるものではないと主張した。しかし、元ワシントン・ポスト紙編集主幹のマーティン・バロン氏をはじめとする批評家たちは、これらの決定を臆病な行為であり、公共財としてのジャーナリズムを担保する新聞の責任を放棄したものだと見なした。
この反発は、特に大統領選直前に政治的な論争が巻き起こっている時期において、メディア企業が編集上の独立性をどう保つか、そしてビジネスの側面でどう活動を維持するのか、バランスを取る上で直面する課題を浮き彫りにしている。ワシントン・ポスト紙とロサンゼルス・タイムズ紙は、両紙のオーナーが民主党の大統領候補であるカマラ・ハリス氏への支持を見送る決定を下したことを受け、主要な編集スタッフが辞職するという事態に直面した。
億万長者(ビリオネア)によるメディア所有の増加は、ジャーナリズムと民主主義への影響について大きな議論を巻き起こしている。 批判派は、このようなメディア所有の集中は、利益相反、編集バイアス、ジャーナリズムの独立性への脅威につながる可能性があると主張している。
ジェフ・ベゾスがワシントン・ポスト紙の大統領候補支持を阻止したような事例は、ジャーナリズムの誠実さを損なうものとして批判されている。マーティ・バロン氏は、彼のこの動きを「卑怯」と評し、権力に対する責任を問うという新聞の役割を損なうものだと指摘した。他にも、例えば連邦政府との契約が多数あるアマゾンを所有するベゾス氏は、政府関連の問題に関する報道に潜在的な偏りがあるのではないかという疑問を生じさせる。
同時に、収益が減少している時代において、億万長者が所有することで質の高いジャーナリズムを維持するために必要な財源を確保できるという意見もある。ジャーナリズムの教授であるダン・ケネディは、ベゾス氏のような所有者は、自らの財務手腕が苦境に立たされている報道機関を再生できると信じていると指摘している。
収益が減少している時代において、億万長者が所有することで質の高いジャーナリズムを維持するために必要な財源を確保できるという意見もある。ジャーナリズムの教授であるダン・ケネディは、ベゾス氏のような所有者は、苦境に立たされている報道機関を再生できる可能性があるとと指摘されている。
億万長者による所有がメディア業界に最終的に利益をもたらすのか、それとも損害を与えるのかについては、議論が続くだろう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB294RF0Z21C24A0000000/
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