女性は「男性のように」活躍しなくてもいい
こんにちは、ナラティブベースのハルです。「ナラティブベースのメンバーが女性ばかりなのは何か意図があるのですか?」はじめましての方に毎回聞かれる質問です。今回は日経COMEMOのテーマ「#女性に活躍してほしい理由」に回答する形で、特に今、各社で導入が進むリモートワークにおける女性(女性性)の活躍に触れながら、今後もより一層必要とされる理由と活躍によって訪れるであろう変化について書いてみたいと思います!
注意書き:この記事は「女性には男性よりも女性性が高い人が多い」という前提で書きます。男女を特性で区別し例外がないという前提ではありませんので、あらかじめご承知おきください。
メンバーが女性ばかりなのは何か意図があるのですか?
わたしが経営する会社「ナラティブベース」は10年以上オフィスを持たずにフルリモートでチームビルディングをしながら企業の課題解決に伴走してきました。そして30名以上のチームメンバーは今のところ100%女性、協業パートナーであるコンサルタントや士業の方は男性が多いという特徴を持っています。
よく「女性ばかりなのには何か意図があるのですか?」と聞かれるのですが、社会的背景と向き不向きから自然とそうなったという経緯をお話し、それゆえ今のカルチャーができあがったというと「なるほどー、なんだかわかります!」という反応が返ってきます。
女性はいち早くリモートワークを切実に必要とした
まず、社会的背景としては「女性はいち早くリモートワークを切実に必要とした」ということです。日本において子育てが女性中心であること、祖父母や周りへ頼れる環境・文化でないことは、以前より変化しているとはいえ今もまだ続く事実です。その点で、わたしたち女性とくに母親は働き続けるためにこの働き方を切実に必要としていた(=諦めるわけにはいかなかった)ことが挙げられます。
そしてもう一つ、女性ならではの特性が実はリモートワークに向き、単に「うまくやるノウハウ」を超えてその組織のあり方やスタイル・文化構築に貢献してきたという経緯があります。似た課題を持つ者同士集まった安全性の高い場で女性性を存分に発揮してもらうことで、ナラティブベースにはフルリモートワーク組織でも拡張と成果を両立でき、人が育つ文化が構築されました。
では、後者の「女性ならではの特性」とは一体何でしょうか?
シェアが得意で相手の心理変化を「待つ」ことができる
フルリモート環境で生き残り活躍する女性たちは、言語化してみると以下の3つの特徴を持っていました。「いました」というのは生き残った人がそうだったという結果論で、つまり、こういった傾向をもつ人はリモートワーク上文化形成に寄与することがナラティブベースで実証済みです(笑)
リモートワークで活躍する女性性の3つのポイント
● 知恵・成果のシェアが得意
● 頼り合うことに満足できる
● 心理への関心が高く「待つ」ことができる
女性は男性に比べ、自分が持っている知恵やその成果をシェアするのが得意なことが多いです。未完成なノウハウでも見せ合ったり、いい意味で人に頼ったり補完しあったりして一緒に完成させてくことに心理的ハードルがあまりありません。結果として成果が誰に帰属するのかがあいまいになってしまったとしても、頼り合い結びつき合っていること自体に満足できます。
そして、もう一つ重要な特徴として「待つ」ことができることが挙げられます。これはいわゆる「母性」とも呼べると思うのですが、相手との関係構築の中で心理や感情などに関心を寄せ、寄り添うことが本能的にできます。たとえ失敗や行き違いがあったとしても、粘り強く相手の心理変化を待つことができ、その特性は顔の見えない環境(リモートワーク)のチームビルディングにおいても変わらず発揮されます。
「男性のように」が求められる時代はおしまい
ここまで読んで、女性信仰、自画自賛的な…と思われた方もいるかもしれません。でも、実は私自身もともと男性性の高いいわゆる「男前」とよく言われてしまうタイプで、社会人生活でも拍車をかけるように「できる女」を目指し男性性をより強化してきました。ここで紹介したような女性性は異様に低く、むしろ周りに集まった女性性の高い女性に助けられてフルリモートでもここまでやってこれたし、肩の荷がおりて自然体になっていったという経緯があるのです。
今まで組織で必要とされ、高評価を得る条件であった戦略思考、実行力、達成欲など男性性を代表する特性の弱点は、未完成なものを見せたり、成果の帰属をあいまいにすることを嫌い、人の事情を「待て」ないがためにつながりを分断してでも前に進みたがる点です。←少し前のわたしそのものです(笑)しかし、これらの逆となる女性の特性は、リモートワークで希薄になりがちなコミュニケーションやつながりを補い、組織のノウハウ構築・人が育つカルチャー作りに貢献します。
これらの3つの特性は、今まさに広がっているリモートワークではより一層強く求められ、その認識も今後ますます明確化し広がっていくと思います。
未だに女性活躍のテーマ上で「女性の管理職の数が伸びない」と言われ続けていますが、組織文化や管理職のあり方自体変えていかないと女性は延々と「男性性強化」を求められてしまう。そんなしんどい時代はおしまいにしたいものです。
女性が活躍すると組織が変わり、時代に適応する
最後に、女性が「男性のように」ではなく、女性性を思いっきり発揮して働くことで、またそういった活躍の場がリモートワークで広がることで、組織はどう変わるのか?その効果について触れたいと思います。
まとめてみると以下のような3つの変化が訪れると考えています。
女性性が発揮されることで訪れる組織の変化
● シェア文化がプロセスを見える化し、新しいマネジメントに
● 個人ではなく全体で自律することが、結果的には自律組織への近道に
● 関係性構築の中で相互育成が生まれ、中長期的な成長戦略に
まず、マネジメント。不完全なシェアをよしとする文化は、新しいマネジメントを生み出します。実行工程を管理し、達成欲をあおる管理型マネジメントから、プロセスを共にする中で足りないところを発見し補い合う共有型マネジメントへ。
次に組織文化。頼り合うことは一見自律と相反するようで、実は全体で自律するための近道です。個人の足りないところを全体で補うことで、より強い組織になっていきます。このような文化が浸透すれば、多様な人材が活躍できる組織づくりも自ずと進めやすくなります。
そして、成長戦略。短期的な売上を追いながらも、中長期的な成長戦略を実行していくには、その基礎となる強いつながりを持った組織体制と人材育成の土壌が欠かせません。ところが、働き方に急激な変化が訪れ、今までのやり方では通用しなくなってきています。これから、離れていても、多様な人材が加わっても、生き残れる「時代に適応した組織」になるためには、女性性の活用や女性の活躍と成長戦略は切っても切り離せない関係になっていくでしょう。
もう一度、今もなお変わらない環境で男性性を強化し「できる女性」を目指している人に、そして、時代に適応した自律型組織を目指す経営者にも、お伝えたいと思います。
女性は「男性のように」活躍する必要はありません!
今はもう、女性が「女性らしく」活躍することが求められる時代です^^!