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常々書いていることではありますが、日本はほぼ化石燃料を産出しません。石油も、天然ガスも、石炭もほぼ輸入依存です。日本のエネルギー自給率は8.3%(2016年)です。日本はエネルギーの90%以上を輸入に頼っているわけです。

その輸入先を見てみれば、下記図表の通りで、原油は中東依存度86.4%(ホルムズ依存度 85.2%)、天然ガスは中東依存度23.6%(ホルムズ依存度 20.5%)です。(資源エネルギー庁HPより)

輸入途絶に備えて在庫を持つ(備蓄)というのも一つの手です。オイルショックの経験から、日本では石油備蓄法という法律が1975年に制定されており、国内に数か月分は備蓄が確保されています。備蓄にかかるコスト負担はありますが、供給途絶したらその直後から困る・・というのではあまりにリスク管理としてお粗末ですから、こうした対策が取られているわけです。ただ、天然ガスはもともとガス体で長期間保存するのに適さないこともあって、国内にある在庫は2週間分程度です。

この記事では、どのような質問をしてこういう回答結果になったのか明らかではありませんが、少なくとも「トランプ米政権の協力要請を巡り」という聞き方は正しいとは思えません。もし誰かと会話していて「トランプ政権に協力を要請されたからといって、派遣しますかねぇ?」というニュアンスで聞かれたら、私もそんなことで自衛隊の派遣を判断できないと思うでしょう。でも自国に石油も天然ガスも石炭も産出し、かつ、原子力も再エネも活用している米国は、この中東地域の安定を維持しないと自国のエネルギー供給が脅かされるという切迫した状況にはならないでしょう。むしろ日本は中東地域の安定の恩恵に浴してきた立場であるわけです。

もちろん、自衛隊を派遣するかというのは慎重な判断を要する問題です。賛成でも反対でも、それぞれの判断が尊重されるべきです。ただ、派遣することによるメリット・デメリット、しないことによるメリット・デメリットをちゃんと認識したうえで判断しなければ、それは「判断」ではなく、ただの「感想」。

世論調査というからには、ぜひこうした背景も伝えたうえで問うてほしいと思いますし、その結果を報道するからには、どういう聞き方をした調査なのかも明らかにしてほしい。それでなければ意味がありません。

しばらく前に、日経新聞に「ホルムズの航行安全、恩恵受けるのは誰?」という記事が掲載されました。この記事の主旨は、自国の船は自国で守るという流れが中国の軍事力の影響が中東に及ぶことを認める流れになるので、「それを米国が看過できるのか」ということも含め、中東依存度の高いアジア全体の問題を指摘する記事でしたので、日本のエネルギー安全保障については言及少なめですが、関連記事としてリンク張っておきます。

タイトルは、姉に教えてもらい好きだった茨木のり子さんの詩「自分の感受性くらい」をふと思い出したことから。この詩の最後の「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」好きでした。何か思うとおりにいかないことがあると、ひとのせいにしがちですが、自分にとって大事なものは自分で育てたり守ったりしないでどうするの。

「自分の感受性くらい」

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子
詩集「自分の感受性ぐらい」(1977刊)所収


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