1米ドル148円台に、円安時代の資産防衛術
シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。
日本では9/22に通貨当局による為替介入がありましたが、その後、為替は再び介入前の水準を上回っています。2.8兆円の外貨準備はほんのひとときの時間稼ぎをしただけで無駄になってしまったのでしょうか。
介入によって、1日に変動する値幅が縮小し、安定したという一定の効果は得られたものの、円安のトレンドを変えるほどの大きな効果はありませんでした。今後の実施は為替相場が過度に変動した場合、再度行われる可能性もあります。
しかし、外貨準備高にも限りがあり、その全てが使えるわけではありません。令和4年9月末時点での日本の外貨準備高は、1,238,056百万ドルとなり、令和4年8月末と比べ、54,016百万ドル減少しました。介入前でも日本は外貨準備高が減少傾向です。最大でもあと数十回でしょう。
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/official_reserve_assets/data/0409.html
外貨準備は日本が輸出旺盛で貿易収支が黒字だった時に作った蓄えで、将来遭遇する様々な緊急事態に使われます。
経済危機などの際にもエネルギーなど最低限の物資を当面輸入するために使われます。通貨危機などの際に為替介入の実弾にもなる外貨準備というゆとりの資産があれば安心なのです。そんな大切な一手を無駄遣いすることは許されません。
マクロ的状況(GDPに対する債務問題)の悪化に加えて、国際情勢の不安定化からエネルギー価格や食料価格の上昇が長期に続けば日本の貿易収支を圧迫し続けます。また、世界的なインフレが継続すれば、各国が利上げを行います。日本だけ緩和を続けていれば、金利差から円は売られます。こうした自然の流れに従えば円安トレンドは不可避で介入をしたところで多少の時間稼ぎにしかならないのです。1980年代は1ドル170円代ということもありましたが、それくらいの水準になっても不思議ではないでしょう。
米ドルは割高ではあるものの、更に割高になる可能性もあります。資産運用をする上で通貨を分散し、購買力を保てるように努力をしていく必要がありそうです。なぜなら、海外旅行に行くことも子供を海外に留学させることも難しくなるからです。
また、日本円の現金や預金を保有していても目減りをしていく一方です。貴金属、株式、不動産などといった将来価値の上がる実物資産に変換していく必要がありそうです。
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