「ゼロ・ウェイスト」の実践に学ぶ
大塚桃奈さんとオンラインイベントでご一緒し、徳島県上勝町で大塚さんが取り組んでいる「ゼロウェイスト」活動について教えてもらいました。
上勝町の名前は、「いろどり」という、地域のおばあちゃんたちが山の葉っぱを拾って都会の料亭のあしらいとして出荷する事業のある町として、以前から聞いておりました。
その上勝町が、ごみゼロを目指している、すごく特徴的な形のゼロ・ウェイストセンターとホテルがある、ゴミを45種類に分別している、といった情報に接しました。人口1500人の上勝町について私の持つイメージは、「自然が豊か、アイディアも豊かなまち」になりました。
大塚さんには対談を通じて、いろいろ教えていただきました。
ゴミを45種類に分別しているときいて、はじめはちょっと無理では…と思っておりました。うちにゴミ箱45個も置けないし。でも町のリサイクルセンターに併設されている「ホテルWhy」に泊まった人は、リサイクルセンターのスタッフにサポートしてもらいながら45種に分別すると教えてもらいました。それならできそう、という感覚になってきました。さらに、大塚さんに実際の分類内容を伺い、そのように分別することでリサイクル業者さんに引き取ってもらえ、物によっては町の売り上げにもなり再利用が進むと教えていただいて、めちゃ納得感がありました。なるほどね、だから細かく分別する必要があるんだな、と。言い換えると、ゴミを捨てることが、実は生産活動になっているのですね。
大塚さんのお話しでいちばん印象に残ったのは、「高齢な方などは、自力で分別できないのでサポートが必要」ということでした。これは、実践者ならではのリアリティーだ感じ入りました。
「サステナビリティー」「ゼロウェイスト」は、まだまだ発展途上の概念で、現実的な方法はいろんなところで試行錯誤中です。やってみたら、この高齢な方の課題など、初めて分かることも少なくないでしょう。「だからダメだ、意味がない」のではなく、「(理想通りではないが)今までよりも良くするには?」という問いが必要なステージなのですね。
また、ゴミを減らすことをちゃんとやろうと思うと、本当に生活者の実態に密着して、よく理解をする必要がある、ということも少し理解できました。それで思い出したのですが、ある食品メーカーでは、新しい海外市場に参入するにあたって、その地域の家庭に数日間密着し、食材の入手、調理、保存、ゴミの廃棄の一連の流れを細かく観察して記録するのだそうです。そのように対象に密着して得られた知見をもとに、その市場に合った商品を開発するとの事でした。「サステナビリティー」「ゼロウェイスト」を実現するにも、こうした努力が必要なのかもしれません。
ゴミを捨てることが実は生産活動になっている。現実的な方法を試行錯誤中である。人々の生活について細かい観察と深い洞察が必要。このように考えていくと、これは新たな事業機会になりそうですね。今は、消費後の商品の包装紙ですとか使い終わった商品の廃棄を、自分たちの事業領域とは見ていないメーカーがほとんどなのかもしれません。でも、ゼロウェイストの取り組みを、社会活動(コスト)ではなく価値創造(利益)として本気で見直したならば、新しい事業の可能性が見えてくるのかもしれませんね。(大塚さんは勤務先で、企業連携を担当しているそうです。)
ゼロウェイストについて、私はほとんど何も知りませんでしたが、大塚さんの話を伺い、その後考えてみたことで、この領域の可能性に少し気づくことができました。ありがとうございました!
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