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就職・転職する時のポジティブなサインは「周りからの反対」にあり

どのように自分のキャリアを作っていくのか。

この問いに答えるのは簡単ではありません。その個人の価値観や特性によるところはあるでしょうし、他の人が正しいと思ったことが必ずしも自分にとって正しい判断になるわけではないのです。特にキャリアの領域においてはその要素が強いと考えています。

日経電子版が「#就職は大手かスタートアップか」というお題で意見記事を募集していたので、今回はその観点で考えをまとめていきたいと思います。

新卒生の就職先としてすすめるなら大手企業かスタートアップか

今回の意見募集の中で""新卒生の就職先として大手企業とスタートアップ、どちらをすすめますか?その理由はなんですか?" という問いかけがありました。
これも一般論で答えるとすると、「個人による」のだと思います。

大手企業とスタートアップの違い

大手企業であれば大きな予算とリソースをかけた仕事に関われる可能性があり、プロジェクトも長期間で追いかけられます。
一方で、組織の決裁構造が複雑で意思判断に時間が掛かりやすくなっています。会社にもよるでしょうが、役割分担も明確で一人がカバーする領域も決まっているケースが多いようです。

スタートアップ企業は予算やリソースは限られているので関われるプロジェクトも規模はそれほど大きいものではないかも知れません。また短期間で結果を出していくプロジェクトをたくさん回していく傾向があります。しかし意思決定のスピードは大企業と比較しはるかに早いでしょう。また組織構造が縦割りではない分、一人一人がカバーする仕事の幅も広く、裁量も大きくなります。

大企業とスタートアップのメリット・デメリットに関して、下記のようなまとめの記事がありました。

大企業のメリット
1. 社会的信用がある
2. 福利厚生が充実している
3. 大規模な仕事がある(できるかどうかは別)
4. 人が多い
大企業のデメリット
1. 職種が選べない
2. 上司が選べない
3. 勤務地が選べない
4. 成果が給与に反映されない
5. 出世しないと意味がない→ゆるく勤めると後が痛い
6. 出世をすればするほど市場との距離は開く

キャリアの神様

大企業の主なメリットとしては「安定感がある」ということが分かります。日経電子版の記事の中でも下記のように、就活生の中でも安定が担保された中でチャレンジできる環境、会社であるかどうかに関心が集まっているようです。

例えば、就活生を取り巻くイシューについてSNSデータを分析すると、新型コロナウイルス禍前までは「大企業とスタートアップ、どちらがファーストキャリアに向いているのか」という話題にエンゲージメントが集まりやすい傾向があった。しかし、20年以降は大企業の働く環境や事業の安定性について発した投稿にポジティブな共感が寄せられるようになっている。
この変化の中で「挑戦」という言葉の解釈にも変化が見られる。20代からハイリスク・ハイリターンを狙うキャリアよりも、ある程度の安定が担保された中でチャレンジできる環境により多くの関心が集まっているのだ。

日経電子版

ベンチャー企業のメリット
1. 裁量権がある
2. 昇進しやすい
3. 結束が強い、チームワークを感じれる
ベンチャー企業のデメリット
1. 社会的信用が小さい(ローンが組みにくい)
2. 労働時間が長い
3. 責任が大きい
4. 成果が給与に反映されない

キャリアの神様

スタートアップ企業は、大手企業と比較すると当然社会的な信頼はまだ無い状態であり、裁量がある分、(これはいい部分であると思いますが)担当する領域も幅広くなり、仕事量も多くなると考えられているようです。この比較表ではデメリットの中に”責任が大きい“とありますが、この部分に関してはむしろメリットなのではないかと私は考えています。裁量が大きく、大きい責任を持ってプロジェクトを担当できる、そしてプロジェクトのサイクルが早い分、多様な経験を得ることが出来る。そこがスタートアップの醍醐味であると考えています。

大手企業とスタートアップが得意とするステージ

Midum  by Shuhei Matsubara

こちらのチャートにもありますが、大手企業はある程度成熟したマーケットにおいて事業を拡大させていくフェーズにおいては十分なリソースがある分強い傾向があると思います。例えば認知を一気に拡大するためのマスメディアへの広告の投下などはコストもリソースも掛かるため、初期フェーズのスタートアップでは攻めづらい部分となりますが、大手企業は攻勢に出れます。

私が覚えているのは、2010年くらいに共同購入型クーポンサイトのビジネスが盛り上がり多くのスタートアップが参入していた時期に、後発でリクルート社が「ポンパレ」というサービスを開始し、テレビCMを展開し一気にマーケットシェアを拡大しました。スタートアップが新しいサービスを生み出すのに強い一方で、マーケットのポテンシャルが確立したのち、後発で参入した大手企業のサービスが、認知拡大のためのマスメディアでの広告や手数料の大幅ディスカウントのキャンペーンの実施などで一気にマーケットシェアを取りに行く攻勢を打つのに長けているのです。

このように書いてみると、結局大手企業がビジネスにおいて最後はマーケットシェアを取るのではないかと思われるかも知れませんが、そうではありません。リソースをかけることで一気にリーチを増やすのには長けていますが、薄利なマーケットなどで、一定期間でそれなりのボリュームの利益を生み出せない場合には、撤退という判断になりやすいのです。
実際、これまでに大手企業が参入し攻勢に出るも、1年-2年ほどで事業を撤退するケースを多く見てきました。

一方でスタートアップ企業は自分たちが社会的に意義があり事業を提供し続けるべきだと信じられるビジネスにおいては、(もちろんベンチャーキャピタルなどの支援が前提にはなりますが)資金が続く限りは事業へのチャレンジを継続出来ます。その継続の先に新たなマーケットの創出があるのです。それこそがスタートアップの醍醐味なのです。

"反対"の先に道がある

これまで大企業とスタートアップの違いについて書いてきましたが、実際に就職や転職をする時に、どのように企業を選ぶのが良いでしょうか?

この点に関しては、あくまで私自身の考えではありますが1つの考え方があります。それは

周りの知人や親が反対するのであればそれはポジティブなサイン

ということです。
私はPeatixを創業する前にAmazon Japanにいたのですが、Amazonに入社したのが2003年頭頃でした。その頃のAmazonといえば、各メディアがネットバブルの崩壊を伝え、その象徴としてAmazonのビジネスの低迷などが報道されていました。当時はまだ、本・CD・ビデオゲーム・ソフトウェアの取り扱いのみで、AWSもKindleもありませんでした。株価も私の入社時が1株15ドルほど。ここ数年で3000ドルほどになっていたので、如何に低迷していたかが分かると思います。

新卒1年目だった私は、Amazonに縁をいただき転職のチャンスを掴んだのですが、周りからは大きな反対がありました。
「成功が難しい領域になぜ行くのか」
「ネットバブルはもうはじけている」
「外資だしすぐに離職に追い込まれるのではないか」
などなど。
インターネットの領域に大きな可能性を感じていた私は周りに対し、その可能性について説明し、入社を決めました。「もうダメだろう」と言われていたAmazonのその後に関しては皆様のご存知の通りです。

思い返してみると新卒としてインテリジェンスに入社した時も、起業をするためにAmazonを離れた時も、一定の反対がありました。
そうした時にいつも考えていたのは

周りの知人や親が反対するのであればそれはポジティブなサイン

であるということです。誰もが賛同する企業やマーケット・業界はそのタイミングでは安定もしており良いかも知れませんが、成熟している状態なので、そこから入社し自分が作りあげっているのを実感するのは難しいですし、何よりこれから大きく成長する新しいビジネスに関われる可能性は高くありません。

まとめ

私は、自分のキャリア、チャレンジを考える時に、誰もが認める領域よりも、反対されるくらいの領域の方が可能性とやりがいがあると考えています。

最近では、Web3やNFTの領域は、内容を理解出来ない人にとっては「まだ海のものとも山のものとも分からない」ビジネスということになります。そうすると、Web3やNFT領域の企業(大手企業であれ、スタートアップであれ)への就職、転職は勧められないと考えるのです。しかし、技術とビジネスの可能性を理解できれば、その業界へのチャレンジは無謀ではなく、今このタイミングでしか得られない幸運なチャレンジとなるのではないでしょうか。

反対されたら「間違っていなかった!」と考え、自分の信じる道を進んでみるのも良いのではないか。そう私は考えています。

皆さまも反対されたらチャンスと捉え、是非良い判断をしてください。


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