ころりんぱ

赤ちゃんが喜ぶ仕掛け絵本『ころりん・ぱ』がすごい

こんにちは、臼井隆志です。アートを触媒にした子どもとのワークショップデザインやファシリテーションを専門としています。今日は絵本のご紹介です。

ひらぎみつえさん作の『ころりん・ぱ』という絵本をご存知でしょうか。

ふと、1歳半になった娘と本屋に行って目に飛び込んだこちらの絵本を買ってみて驚いたので、今日はそのことをnoteに書こうと思います。

赤ちゃんが喜ぶ仕掛け絵本とは?

ひらぎさんは、赤ちゃんが楽しむ仕掛け絵本を多数作られている作家です。

その仕掛けは、指で紙を回転させたり、引いてスライドさせたりといったシンプルなものばかりです。しかし、それによって顔を動かしたり、バスを動かしたり、動物をダンスさせたり、多様な表現が生まれます。

(以下のサイトでそのバリエーションを見ることができます)

なかでもこの『ころりん・ぱ』は、そのシンプルさが群を抜く作品です。

直線と角、うずまき、蛇行、といった一筆書きのバリエーションのなかをキャラクターに移動させる絵本です。非常によくできた仕様で、その仕様が実現している経験の豊かさに驚きました。

「なぞる」ための仕様

まず驚いたのは、なぞりやすさです。

ミゾに埋め込まれた丸いキャラクターを指で押さえて動かすのですが、指が引っかかりやすいようにキャラクターに穴が空いています。

そして、力を入れなくても動き、引っかからないように、ミゾとキャラクターの間の隙間がしっかりとあります。それでいて、キャラクターがミゾから外れる心配がありません。

この工夫が凝らされた仕様によって、力の調整が難しい赤ちゃんでも、キャラクターを指で動かすということに集中できるのです。

手の運動をうながす、仕掛け

赤ちゃんの発達過程において、手(指先から肩の付け根まで)の動かし方を学習することは重要な課題です。スプーンの使い方、描画、ドアの開け閉め、その他さまざまな道具を使いこなすために、彼らは日々学習しています。

そんな手や腕の運動をうながすためにさまざまな玩具が作られています。

そのとき、赤ちゃん用の玩具でよくみられるのは、デザイナーがさせたいと思った経験と、実際に赤ちゃんがする経験の間にズレが生まれてしまうことです。

たとえば、ファニーフェイスという玩具があります。手の運動を動かすために作られた玩具ですが、非常に難しいのです。対象年齢は0歳から6歳となっていますが、3歳でも1列クリアすることは難しいでしょう。

しかし、この「ころりんぱ」は、ファニーフェイスが3次元で展開したことを、二次元におさめることで、難易度をぐっと下げました。そのことで、1歳半の娘も悪戦苦闘しながら楽しめる、ちょうどいい難易度を実現しています。

「ものがたり」の効用

さらに、ファニーフェイスになかったのは「物語」の要素です。

ページをめくってキャラクターが出てきて、一筆書きの端から端に移動させる。それだけのシンプルなシナリオですが、あるとないとでは大違いです。

こちらの読み聞かせ動画をどうぞ。

ぼくたちが物事を理解し、その流れに乗ることができる2つの枠組みに、物語と類推/見立てがあります。

スライドさせるための円形のパーツに目がついているだけで、それを「生き物」だと類推することができます。そして、一筆書きの直線があることで、何かしらの事情で端から端に移動したがっているという物語を見立てることができます

「かたむける」ことで起こる新しい遊び

その他の楽しみ方に、絵本をちょっと傾けると、キャラクターが重力に負けて滑りだすという現象が起こります。

さらに発展させて、手を動かさず、スライドさせて端から端に移動させれば、簡易版のボール迷路のできあがりです。

(下の商品は、大人のぼくでも全然できなくてムシャクシャしますが、『ころりん・ぱ』で代用すれば、子どもでも達成感を味わえるはず)

この遊び方なら、3~4歳でもちょっと苦戦しながら楽しめるかもしれません。

楽しみの尽きない、シンプルな仕様には、さまざまな遊びが内包されていました。これぞ玩具のイノベーションなのでは?と興奮したので、noteご紹介した次第です。

*Amazonをレビューを見ると、「触らせたら壊れた」「1歳になったばかりの子が壊してしまった」などの投稿があるので、指先を使って活動することに興味が湧いたら、ぴったりなのだと思います。

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子ども向けワークショップの企画・運営が得意です。noteでは発達心理学や認知科学をベースにした「赤ちゃんの探索」、ワークショップの作り方やアートの見方についての「アート・ワークショップコラム」を連載しています。株式会社Mimicry Designディレクター