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人は、強くなければ謙虚になれない

いつも強がっている人は、本当はものすごく弱い人だと思うのです。威圧的な態度、不機嫌なコミュニケーションは、心の中の不安の表れでしょう。逆に、謙虚な人ほど実は強い。卑下とはまた違う。自分に真の自信がある人だけが、本当の意味で謙虚になれるのだと思っています。

私がこれまでお会いした中で「本当に強いな」と感じた方々は、みなさん自分の弱さをきちんと開示できる人ばかりでした。

たとえばとても有名な経営者なのに、「いやあ、自分は失敗ばかりしてきましたよ」とすごく謙虚に語ります。それも冗談めかしてではなく、「自分はできないことだらけだ」と心の底から思っているのです。

しかしもちろん、そこで終わるのではなく、つねに自分の弱さの克服へ向けて努力を続ける。そうした姿が、まわりにはむしろ強く、大きな姿として映るということだと思います。


なぜ弱さを開示できる人が強いのかといえば、それは「自分を正しく客観視できる」からだと考えます。自分の能力や限界を把握しているので、「これはできない」と思ったら素直に他の人に頼ったり、学んだりすることができる。

その結果、周囲のサポートを得て、一段も二段も上の成果にたどり着くということです。


たとえばスポーツ界でも、トップ選手は自分の弱点を分析し、専門のコーチやチームメンバーに積極的に意見を求めます。どんなに才能がある選手でも、試合のビデオを見返して「ここが甘かった」「ここの動きが遅かった」と弱点を洗い出し、次に活かそうとしますよね。そうやって常に弱さを克服しようとする姿勢こそが、圧倒的なパフォーマンスを生み出す原動力になっているのです。

逆に「俺は弱いところなんて一つもない」と公言し、他者からのアドバイスを全く受けつけない人はどうでしょうか。自分に都合のいいように現実をゆがめてしまうので、間違いを認められずにそのまま突き進んでしまいます。

ミスをしたとしても自分の失敗だと認めず、人のせいにしてしまう。結果として誰からもアドバイスももらえず、最悪のスパイラルに陥ってしまうのです。往々にして、そんな人にはとても寂しい人生が待っています。


このように変化が激しい時代においては、自分を客観的に見られる人こそ柔軟に適応し、成長することができます。

根拠のない自信だけで押し通すのではなく、強みと弱みをきちんと把握し、仲間の力を借りながら進んだほうが、ビジネスにおいても圧倒的な成果が生まれるはずです。

とくにチームでの仕事が主流になるいま、自分一人だけで何かを完結できる場面は極めて少なくなっています。だからこそ、弱みを素直に開示し、協力してもらえる環境をつくり出した人こそが最終的に勝ち残っていくということです。


弱みをさらけ出すには、まずは自分の「真実の姿」を受け入れようとする心構えが必要ですね。

これは簡単なようで、実はとても難しいこと。でもここを乗り越えてこそ、まわりからの信頼を得られます。そして信頼を得た分だけ、他者から助けてもらえる機会も増えるのです。その結果として、自分自身も強く、有能になれる。まさにこれが「本当の自信」を持つ人の姿だと思います。


「弱みを開示すると損をするのでは?」と心配する人もいるかもしれません。しかし、多くの方は意外にも「人を助けたい」と思う気持ちを強く持っているものです。

だからこそ、思いきって自分の弱さを示してしまう方がいいのです。謙虚な態度で「ここは助けてほしい」とオープンに伝えることは、ビジネスでもプライベートでも驚くほど大きな成果やつながりを生むはずです。

そういう人には、周囲が「手を貸したい」「応援したい」という気持ちを自然と抱くものですし、だからこそ、結果としてもっとも強くなるということです。強がっているだけの孤立無縁の人より、いつも謙虚でまわりから応援される人。どちらが本当に強いかは、明白です。


自分の弱さを見せられる人こそ、本当に強い。

変化の激しい時代だからこそ、つねに謙虚でオープンな姿勢を大切にしていきたいですね。まわりの力を借りながら共に成長し、高い価値を提供し続ける。そのような存在でありたいと思っています。


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