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イノベーションのための、「respectfulness」のすゝめ
こんにちは、メタバースクリエイターズ若宮です。
今日はこれからの(特に起業家の)資質・スキルとして、「respectfulness」(と「thankfulness」)が大事なんじゃないかな、というお話を書きたいと思います。
IVS KYOTO 2024の「Cross the boundaries」
先週、IVS(Infinity Venture Summit)というスタートアップのカンファレンスに参加士に京都に行ってきました。
IVSはスタートアップやベンチャーを中心としたカンファレンスで、起業家の他、大企業の新規事業担当や自治体・政治家の方が集まり、さまざまなトークや交流が行われました。
代表の島川さん曰く、
今回のテーマはCross the boundaries。国内↔︎海外、東京↔︎地域、男性↔︎女性、経営者↔︎研究者↔︎政治家という様々な壁を越えて社会経済における課題を解決していこうと企画を進めて参りました。
IVS2024 KYOTO無事に終了しました。ご参加いただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。
— 島川敏明@IVS代表 | Headline (@toshi_ivs) July 7, 2024
今回のテーマはCross the… pic.twitter.com/NDQZRsNKcq
ジェンダーやダイバーシティに関するテーマやグローバルなテーマのステージもあり、様々なセッションが行われていました。登壇者のダイバーシティも配慮されていて、スタートアップの空気も明らかに変わってきたな…!とうれしくなりましたし、
(speaker含めて海外比率はもう少し高くてもよかったかもしれませんが)特に若い人たちや学生の方も多く参加していたのがとても素晴らしい!と感じました。
24年は学生チケットを用意したことで参加者が増え、1万5000人と前年比5割増になった
大変な熱気の中、cross the boundariesなmingleが起こっていて、個人的にも色んな領域の知人との再会や新たな出会いがありました。
リスペクト力の高い大人たち
若い世代が起業に興味を持ったり触れたりする機会が増えることは、スタートアップの未来のために本当に大事だなと思うわけですが、
実は今回、娘もIVSに参加できることになり一緒に行きまして、前半の1日半は、娘を連れてIVSを回っていました。
会場で再会した方や初めて出会った方に、娘も自己紹介してお話していたのですが、十代の娘にも対等に接してくれ、むしろリスペクトを持って接してくださっていた大人がたくさんいました。
昭和的な日本では、もっと家父長制的な感じで、年齢やジェンダーによって見下されることが多かったかもしれません(若い女性だと急にタメ口になるとか…今もありますけど…)。年嵩や目上の方へのリスペクトは大事かもしれませんが、だからといって初対面の若い人や女性を見下すというのは全くちがいますよね。大事なのは相互のリスペクトです。
IVSでも本当にごく一部、年齢や社名や会社の規模など外面的なことで人を見下すような態度を取る方も目にしました。僕なんかはキャップに短パンとかで貫禄がない格好をしているし、まだまだ駆け出しのスタートアップなので、割と軽くみられた態度を取られることもあります。で、後から大企業で働いていたキャリアとか年齢とか肩書きとかを知ると言葉遣いが変わる人もいて、そういうのとても残念な大人だなと思います…。
しかし総じて、IVSはフラットでopen-mindedな方の比率が高かったと思いますし、娘に限らず学生の方や属性のちがいに対しても敬意のあるコミュニケーションの場になっていたのはとても素晴らしいと思います。
respectとCross the boader
IVSのテーマは「cross the boundaries」。
異なる領域の人たちが交流する場だからこそ、respectが重要だと思います。というのも、異なる領域と接する時に、リスペクトがあるのかないのかで大きく効果が異なると思うからです。
たとえば異なる領域の人と出会った時、「部外者」とか自分たちと比べて「素人」だと見下すとしたら、せっかくの出会いからはほとんど新しい学びは得られません。
一方その逆に、領域外の人を「自分が知らない知見を持っている人」としてリスペクトすれば、そこから沢山のことを学べます。
IVSの後は、直行で日本で僕が最もリスペクトする現代美術家・高嶺格さんが参加している展示を見に行きました。
展示を拝見した後で、高嶺さんと、ギャラリーのANOMALYの関連のみなさんと打ち上げ的な場に参加させていただいたのですが、「よそもの」でもある僕の話も色々ちゃんと聞いてくださって、楽しい時間を過ごせました。
アート界隈ではビジネス側の人だと見ると、時々「素人は黙っとけ」的な扱いをされることもあるのですが、そういうのが全くなく、「ビジネスではこういう風にお金を集めていたり…」とか「こういう仕組みで社会を変えようとしている方がいて…」とか育成の環境づくりみたいな話もみなさんふむふむと聞いてくださいました。
たしかにビジネス側でアートへのリスペクトがなく食い物にするような人もいるはいるので双方の問題でもあるのですが、でも「よそもの」に門戸を閉ざしてしまうと、ムラ化ししてしまい、やがて窒息していってしまいます。
ジャンルがちがうからこそそれをリスペクトする。そこから新たな触発が生まれる。イノベーションは「新結合」とも訳されることがありますが、新たな結合から新しい価値が生まれる。その結合が切れてしまうといけないですよね。
メタバースクリエイターズが約束の3つ目に「respect for diversity」を掲げているのはそういうわけです。クリエイターは個性はバラバラだけど、だからこそrespectがあればこそ、化学反応が起きる。
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起業家の重要な資質・「respectfulness」
僕はrespectする力というのは純然たる能力だと思っていますが、さらにいえば心がけや訓練で磨くことができるスキルかもしれない、とも思っています。
そしてリスペクトする力=respectfulness は、とりわけ起業家にとっては重要ではないでしょうか?
起業家は新しいことを立ち上げる中で、試行錯誤をしまくります。特に「まだ世の中に無い新しいこと」の場合、専門家はおらず全員が素人なわけですし、その中でどうにか立ち上げていくには、異ジャンルも含めて様々な人から少しずつ学んでいくしかありません。
そこで異ジャンルの人を見下す(look down on)のか、リスペクトする(look up to)のかで学びは大きく変わります。
また、respectfulnessは「変化」にも関わります。たとえば年齢で人を見下す人は、若い人から新しいことを学ぶ機会を自ら捨ててしまっているようなものではないでしょうか。既得権益に固執してシステムを閉じたものにしてしまうと新しい価値観が入ってこないので、旧態依然として変化ができなくなります。
ニーチェは
脱皮できない蛇は滅びる。意見を替えていくことができなくなった精神も同様だ。それは精神であることを止める。
と言いましたが、もし起業家がリスペクトがなくなり、変化できなくなるのならそれは「起業であることを止める」のと同義かもしれません。
Cross the boaderするために、リスペクトを持つ。異分野から学び、変化し続ける。起業家にとって、そしてこれからの時代にはあらゆる人にとって、リスペクトする力=respectfulnessはますます重要な資質になってくると思うのです。
そして、リスペクトを通じた学びと変化によって、何ごとかを成し遂げることができたなら、その上で、thankfulnessを持つことができたら、最高の起業家になれるかもしれません。
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