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「ゆるブラック」という状態。

下記の日経ビジネスの記事の、「ゆるブラック」に関する記事は興味深かったです。

「働き方改革」で、仕事の負荷は減りましたが、その分、やりがいが失われているというのです。特に、仕事の負荷が高めるような、新たな挑戦や工夫をしなくてもいいようにする管理が増えているというのです。これにより、若手が自分の未来を自分で拓く展望が持てずに転職するケースが相次いでいるのです。

これは、幸せや充実感に関する基本的な知見を知らないで、機械のように人間を扱った結果だと思います。

人の充実感ややりがいに関する、大変重要な知見が、ミハイ・チクセントミハイ教授によるフロー理論です。人が充実感や熱中するには、普遍的なパターンがあることを大量のデータとインタビューで明らかにしたのです。

我々は、難しすぎる問題を与えられると、「不安」になります。
一方で、簡単すぎると、「退屈」になるのです。
「不安」も「退屈」も人間にとっては、ストレスフルな状況なのです。
どちらも、うつ病などになりやすい状態です。

我々が充実感を持つためには、両者の中間の、丁度良い領域、すなわち、ちょっと背伸びをし、ジャンプをすることでやっと届くような目標が必要なのです。このような状況では、「フロー状態」という熱中し、没頭するような状態が増えることが知られています。

もちろん、仕事の要求は、そんなに都合良い難しさで与えられるとは限りません。だから、本人が、自分の力も考慮して、周りとコミュニケーションする必要があるのです。難しすぎる時には、段階を踏んで前進できるよう調整が必要ですし、簡単すぎる時には、その自由度を使って、新たな工夫や挑戦を組み込むことを調整する必要があります。

おそらく上記の「ゆるブラック」な組織をつくってしてしまった人は、この難しすぎても、簡単過ぎても、人はメンタルな問題を抱えるというよく知られた事実すら知らないで働き方を管理したりルールをつくっているのではないでしょうか。人間は機械とは違います。単に楽できるようにすることが「働きやすい」状況ではないのです。

まだ、日本の企業には、人を機械の部品のように扱う20世紀型組織の発想からまだ脱していない人が多いのだと思います。

しかし、そろそろ卒業すべき時です。

希望に向かって日々決意し、その実現のために熱中する心を持つ人として、従業員を見ることが必要な時代です。発想の転換が必要です。


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