小さなアニメイベントを日本人ゲストと盛り上げるためには=日独交流最前線
南西ドイツのフライブルクという町でアニメファン向けイベント「アニメフェスティバル・フライブルク」(9月20~22日)が開催されました。昨年スタートしたこのイベントですが今年は1500人(三日間のべ)の来場者がイベントを楽しみました。
筆者は今回、招待ゲスト企画の一部をお手伝いしてきました。今回は現場で感じた難しさと展望について考えてみたいと思います。
ステージ企画を盛り上げた日本人ゲストの皆さんの顔ぶれはこんな感じです。
・三木達也さん(アニメーター)
・和島あみさん(歌手)
・座紀光倫さん(マンガ家)
・Doranekoさん(歌手)
・KOHEIさん(歌手)
ドイツでは大型イベントともなると3~5万人を動員します。通常、1500人程度の規模のイベントでは日本人ゲストを招待することは難しいです。では、なぜそれが可能となったのでしょう?
その仕組みについては去年、このCOMEMOでの投稿で取り上げました。
この投稿では、小さなアニメイベントでも日本からゲストを招待できる仕組みとして、3点を紹介しました。
1)ステージ機材などを自前で用意しているので外部企業へのレンタル費を節約できている。
2)日本からゲストを招待するノウハウがある。
3)入場チケットが同規模のイベントよりも高めに設定されている。
前置きが長くなりましたが、この2点目の「日本からゲストを招待するノウハウ」についてが今回のテーマです。
ノウハウといっても実際のところは「つてがあるかないか」です。昨年は個人的に面識のある方に声をかけさせてもらいました。今年も同じように進めていたのですが反応は鈍く、日本の出版社や団体に相談しても良い返事はもらえず候補選びは難航しました。
ほぼ諦めかけていたとき、ツイッターで公募してみたら?という考えに至りました。
その結果、趣旨や諸条件を理解してもらった複数の方から応募があり、おかげさまで筆者の役目は今年も無事に果たすことができました。
改めて、このツイートをシェアしていただいたすべての方に感謝を申し上げます。ありがとうございました!
今回の経験から学んだことは以下の2点です。(当たり前のことかもしれませんが)
・日本のアニメやマンガなどポップカルチャー業界では、国外のファンと交流してみたいというクリエーターがたくさんいる。
・しかし、同時に日本の現場で働くクリエーターの方に、ドイツの小イベントの声を届けるのは難しい。
この構図は、海外に行ってみたいという日本の需要と現地の需要という構図に置き換わるのではないでしょうか。そこでの課題は、どこの業界でもそうですが、マッチングなど双方を結びつけるコーディネートになると思います。
「アニメフェスティバル・フライブルク」の参加者は1500人でした。ドイツのアニメファンポータル「Animexx」によると、ドイツを含むドイツ語圏(スイスの一部とオーストリア)では、過去1年間に同様の規模(500人~2500人)のイベントが各地で合計25回開催されています。
誤解のないように言及しますが、筆者はかならずしもドイツが特段に盛り上がっていると吹聴する意図はありません。アニメイベントは現在、世界各国で大規模なものが開催されています。そして、現地ではフライブルクのような小規模なイベントも多数存在するであろうことは容易に想像がつくことだと思います。
日本人のクリエーターの活躍の場はまだまだ多い、改めてそう感じました。
本投稿が日本と現地の需要を結ぶヒントになれば幸いです。
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タイトル写真:現地のコスプレ・コンテストで優勝したNamen Eujin Cos&Coさん(「綾波レイ」)とGeniMonsterさん(「アスカ」)。