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身内の不満をいかにコントロールするか

オーバーツーリズムで、スペインの各地で観光客の排斥運動が起きている、のだそうだ。日本でもそれが問題となり、富士山が見えないよう黒い幕を張ったとか、問題があった。どの国でもそうだが、インバウンド期待で観光収入を当て込むものの、観光地での地域住民との問題は相応に起きてしまうことになる。うまく地域住民・身内の不満をコントロールしながら、自国の利益や成長に観光を結びつけられるか、それぞれの政権の腕の見せ所、であろう。

現在、スペインは他のユーロ圏諸国よりも好調な経済状況にある。今年前半の力強いGDPデータにも裏付けられているが、今年の前年比成長率は2.8%程度。来年も2.5%程度の成長が継続する、という見方が可能になっている。

こうした強気の見方が可能なのは、雇用に支えられた消費の伸び、堅調な輸出に加え、他でもなく力強い観光トレンドがあるから、でもある。オーバーツーリズムは国内問題だろうが、これだけの力強い観光があってこそ、輸出も消費も後押しされ、支えられている部分は大きい。スペインの場合は労働市場がGDPの変化に大きく反応する傾向があるが、これは労働集約型のサービス部門、すなわち観光業に集中しているからである。観光業の指標は引き続き好調な1年を示唆しているため、雇用の伸びは今後もその恩恵を受けられるという見通しもある。1つには移民が寄与しているのだが、それ以外に大きな要素として、大規模な観光客の流入の恩恵を受けていることから、スペイン経済は好調を維持していると言えるわけだ。

観光フローは現状のスペインの大きなポジティブ要素であるわけだが、地政学的リスクの状況がさらに悪化して、海外旅行や観光需要により幅広く悪影響をもたらす可能性もゼロではない。その上、身内の不満が充満して国内問題を抑制できないようだと、それが理由で観光客を制限することが必要になってしまう。どれだけうまく対応するか。格上げ期待もちらつくスペインだけに、どの国よりも失策は避けたいところである。

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