「男女差別がなくなると、少子化も改善するよ」というデータを示すと、なぜ反論(クソリプ含む)が押し寄せるのか?
先日「ジェンダーギャップが縮まるほど出生率が上がるよ」と、ツイートをしたところ、たくさん「いいね」をもらいました。でも、「いいね」だけじゃなくて、反論( クソリプ含む😇 )も押し寄せてきました。
「せめて、文字を読んでから反論してください😢」というようなレスも多い中、確かに、これは丁寧に説明すべきだなと思うものもありました。
例えば「女性の社会進出が進んでいない明治とか大正の方が、女性はたくさん子どもを産んでいただろ」とか「現代の日本でも、現役世代の女性の社会進出が進むと、出生率が下がっている。これは、データでもはっきり示されている」とかです。
これは、それぞれ紛れもない事実です。でも、この事実だけをみて「ほらっ!男女差別がなくなると、少子化はむしろ悪化するのだ!!」と結論付けるのは早計です。
本来、Twitterで反論をくださった方々と直にコミュニケーションを取りたいところですが、メディアの特性上、なかなか難しそう。ということで、noteでまとめてみることにしましたッ
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ジェンダーギャップが縮まると少子化が加速する、それは正しい。ただし、今の日本だったらなッ!
なぜこんなことが起こるのかというと、女性の社会進出と子育てが、トレードオフの関係にあるからです。女性が男性と同じようにキャリアを積みたければ出産を諦めねばならず、逆に、子どもが欲しい場合はキャリアを諦めねばなりません。
こんな究極の選択を女性が迫られる理由は、男たちが、そして社会が、家事育児を女性にだけ押し付けているからです。もっとも、今時、子どもが生まれたからといって専業主婦でいることを強制する人は多くないでしょう。でも、無自覚に、こういってるケースがあまりに多い。
「もちろん働いてもいいけどさ、家事育児に影響のない範囲でやってね(ニッコリ 」
これでは、普通に(男性と同じように)キャリアを積むなんて、まず不可能です。「え〜? 頑張ればできんじゃね?」と思う人は、ぜひ、ご自身でやってみてください。
結婚しなくても、子どもを産まなくても、難なく生活できる時代です。なのに、なぜそんな罰ゲームみたいなことをせねばならんのか。経済学的観点からすると、結婚出産というのは、女性にとってまったく合理的ではないのです。
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ところが、冒頭のツイートの図にあった通り、他の先進国では事情が違います。女性の社会進出と出生率が相関関係にあるのです。なぜかというと、女性の社会進出と子育てが、トレードオフの関係になっていないからです!
子どもが生まれたら、パートナーたる男性も、当事者としてしっかり家事育児にコミットします。これだけでも、女性の負担はケタ違いでしょう。みての通り、男性の家事育児の負担割合が高い国ほど、出生率が高いのがわかります(我が国は定位置の左下)。
出典:山口慎太郎教授『子育て支援の経済学』
そして、家庭の子育てを社会がサポートしてくれているのも、大きな要因です。例えば、待機児童問題を考えてみてください。
どんなに夫が家事育児にコミットする気満々でも、もし保育園に子どもを預けられなかったとしたら、どうなるでしょう。夫婦の間で、相対的にお給料が低い方がワンオペで子どもをみるしかありません。そしてその任務を背負わされるのは、現状、女性が圧倒的に多いようです。
でも、政府がちゃんと投資して、この問題を解決してくれれば、こんな問題は起こりません。女性がキャリアを継続できれば、男性だって、安心して家事育児と仕事を両立させられます。
ところが、GDP比でみると、日本は家族に対する投資が他国と比べて圧倒的に少ないんですよね。
出典:拙著『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ』
もし子どもを産んだとしても、家族や社会がサポートしてくれて、キャリアの継続だって諦める必要のない社会。
こんな社会だったとしたら、女性が子育てを諦める必要があるでしょうか。キャリアでも、なんの気兼ねなく挑戦できるんじゃないでしょうか。
この結果、その社会は「ジェンダーギャップが縮むほど、出生率が上がる」という状態になります。
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つまり「女性の社会進出が進むと少子化が加速する!(`・ω・´)キリッ 」 というのは「うちの国は、未だに子育てを女性に全部押し付けてまーす」という、極めて恥ずかしい宣言そのもの。
このロジックが通用してしまう社会は、あまりにダサい。私たちの仕事は、この最悪の因果関係を、変えることです。
そして、その鍵を握っているのは、私たち男性です。私たちは、仕事、というより、組織に対して絶対の忠誠を誓うように求められてきました。「子どもが生まれたから、育休を取得したいです」なんて言った日には「キミィ、仕事をなんだと思っているのかね!」こんなお叱りが上長から飛んでくるのが現実です。
でも、私は言いたい。「キミィ、私の家族をなんだと思っているのかね!」と。
私たち男性は、会社に対する責任を果たす前に、家族に対する責任を果たさないといけないのです。