これは映画のシーンではない、白昼の出来事である
国際刑事警察機構(ICPO)といえば、ルパン3世の銭形警部でおなじみの国際組織。9月下旬から行方不明になっていた、ICPOの孟宏偉総裁は、中国当局に身柄を拘束されていた。「『異質な中国』では法治の常識が通用しない」。北京発の日経記事はそんな現実を伝えるが、国際機関しかも警察関連機関のトップが拘束されるなどという事態は前代未聞である。
しかもフランスで記者会見した孟氏の妻の説明が、事件の不気味さを増幅する。「夫から携帯に『私からの電話を待ちなさい』とメッセージが入ったあと、ナイフの絵文字が送られてきた」というのだ。その後、孟氏からの連絡は途絶えた。妻と2人の子どもは現在、仏当局の保護下に置かれている――。
細切れの中国側の発表からは、孟氏が汚職を犯したか、あるいは中国内の権力抗争に巻き込まれたのだろう、といったことしか分からない。それにしても、要人がある日突然に姿を消す、などという事態は薄気味悪い。「007」でもなければ「ミッション・インポッシブル」でもない。これは中国を舞台に今起きている現実の出来事のだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36243670Y8A001C1I00000/
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