“焼け石に水?インフレ抑制の動き”

イングランド銀行は政策金利を1.75%まで引き上げ、金融引き締めを加速している。背景にはもちろん強いインフレ圧力がある。


今後はエネルギー補助政策がインフレ圧力を抑制する方向に働く。政府は4000億ポンドに上るエネルギー還付金を予定しているが、その還付が価格改定として取り扱う可能性があるためだ。国家統計局ONSが価格改定として扱うかどうかは、マニュアルに応じたケースバイケースなのだそうだが、自動的に、例外なく給付されること、小切手等で別途送付する形ではなく、請求額に自動的に適用されること、から、価格改定として扱われる公算は大きい。

クレジットカードなど自動的に引き落としとなっている顧客は自動的に減額を受ける一方、従来の前払いメーターの利用者には割引券が交付される。1世帯あたり400ポンドの還付は10月から始まるが、6か月に分けて行われる。10月と11月には請求額から66ポンドが差し引かれ、1月から3月までは67ポンドが減額となる。

その場合、10月以降実測インフレが低下する可能性はある。ただし、それでも効果は限定的だ。ガス・電力市場局Ofgemが定める料金の上限が10月に年間3300ポンド程度に上昇すると仮定した場合、同月のRPIの上昇率は14.3%となるのを10月に400ポンドの還付金全額を考慮しても低下分は75bp程度にとどまるからだ。

むしろ、注目は来月5日の保守党党首選の方かもしれない。減税を強く打ち出し優勢となっているトラス外相がこのまま勝ってしまい、財源ないまま減税を実施することになれば、更にインフレが加速することになりかねない。


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