科学的に証明された「イヌは飼い主に似る」 ペットの家族化に潜むチャンスとリスク
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
この前外が見えるカフェで休んでいたら、通りを散歩していた犬と飼い主があまりにそっくりで3度見しました。これは初めてのことではなく、わりと高頻度で見かける現象です。みなさんもきっと出くわしたことがあるのではないでしょうか。
それだけではく、イヌに見た目が似ていると認識された場合(想像の世界ではありますが)、向こうから近づいてくるということがあります。私は髪が長めのウェーブで耳が隠れていることが多いためか、アメリカン・コッカー・スパニエルが高確率でご挨拶にきてくれます。仲間意識なんでしょうか。私の方もどうも他人とは思えない親近感を覚えます。
「イヌは飼い主に似る」という言説はよく耳にするものですし、前述の通り経験則でも本当っぽい話に思えます。探してみたらこれを真面目に研究した論文もあり、この理論を裏付ける科学的根拠は一応あるようです。
元の論文はこちら。
Like owner, like dog – A systematic review about similarities in dog-human dyads
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0191886924003441?via%3Dihub
要するに、イヌを飼うときには見た目が似ている子を選びがちという話のようです。家族として仲間に入れる要素として、見た目の類似性というのはひとつのキーファクターなのでしょうか。それ以外にも生活を共にするにつれて性格も似てくるということが指摘されています。
私はかつてイヌとネコを同時に飼っていた時期があります(タイトル画像)。ネコには性格の類似性は感じたことがないどころかむしろ下僕という関係性でしたが、確かにイヌとは精神的な絆を感じることが多々ありました。おもしろいものです。
ペットの家族化、人間化を意味する言葉として「ペットヒューマニゼーション」というものがあるそうです。コロナ禍の初期のころ、普段からその発言に注目している国際政治学者のイアン・ブレマー氏の提言を聞いてお茶を吹いた記憶があります。いつものような切れ味鋭い自信に溢れた口調で「イヌを飼うべきだ」と断言していました。
パンデミックで人と会う機会が減ることについて「人はつながりがなくなると脆い」という流れからのこの発言。まさに「ペットヒューマニゼーション」時代を表したものでしょう。
驚くべきことに、犬と猫の飼育頭数はこどもの数をすでに上回っています。市場規模も2兆円弱と巨大で、これは国内ゲーム市場や化粧品市場と同じくらいの大きさです。こうなるとビジネスチャンスとしても無視できない市場であると同時に、必ずしもペット好きとは限らない、またはアレルギーがあるなどの理由で避けなくてはならない人々もいるということを考慮しなければなりません。社会の中でどう共生していくのかをしっかりと考えなくてはいけない時代になっているなと思います。
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※ タイトル画像は筆者撮影