2025年版:アニメイベント訪問のヒント=ドイツ編
日本のアニメやマンガが世界的に普及した結果、ファンが集まるイベントが増えています。世界各地でイベントが開催されるなか、どのイベントに行けばよいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。今回は2025年にドイツで開催されるイベントのうち、筆者が注目するイベントを紹介してみます。
まずはレーゲンスブルクのイベント「KDKasai」(ドイツ語公式サイト)です。2025年は10月4日を予定。立ち上げ間もないアニメやマンガファン、コスプレイヤーが集まる小さなイベントです。南ドイツ、バイエルン州の古都レーゲンスブルクという町が気になっています。この町はマンガ『オルフェウスの窓』ゆかりの地でもあります。現地の今の若いマンガ読者は知らないかもしれませんが、だからこそ、自分たちの町がマンガに登場していたことを知れば喜んでもらえるのではないでしょうか。そう考えれば交流ネタのひとつにもなるかもしれません。ローマ時代にまで遡る歴史のある、石造りの町並みは見どころも豊富で、異世界転生アニメの主人公の気分が味わえるだけでなく、さらに近くにあるヴァルハラ神殿に行けば、アニメ・マンガ的なインスピレーションが刺激されそうです。
次はメミンゲンの「YumeKai」(ドイツ語公式サイト)というイベントです。こちらもバイエルン州の新しい小さなイベントです。町はまるで西洋ファンタジー系の作品に登場する雰囲気で、街歩きが捗りそうです。コスプレの写真撮影もいいかもしれません。この町は、車で1時間ほど東に行けばノイシュヴァンシュタイン城があり、南に行けば、ボーデン湖の風光明媚な島リンダウがあります。(2025年は5月31日ー6月1日の開催)
2025年はクリスマス・マーケットとイベントの両方の訪問が可能になります。カッセルで開催される「アニメフェスティバル・カッセル」(ドイツ語公式サイト)の日程は12月7ー5日で、クリスマス・マーケットの時期と重なります。この期間であれば、ドイツ各地でクリスマス・マーケットが開催されているので、交流と観光の両方が楽しめます。
さて、最近、イベントの大小はオタク文化による国際交流の場面では、それほど重要ではないと考えています。イベントの滞在時間は限られており、絵師のブースやコスプレイヤーに声を掛ける人数も限定されます。たくさんいても、全員に声を掛けることはできないのです。
であれば、イベントの前後にどのような観光プランが可能なのか検討し、交流と観光をセットにすれば、モチベーションもさらに高まるのではないでしょうか。
と、ここで本稿を終わってもいいのですが、大手イベントも軽く触れおきましょう。ドイツ最大にして、「ドイツのコミケ」を目指す「ドコミ」(日本語公式サイト)は、2025年の動員数を20万人と予想しているそうです。デュッセルドルフという地の利を活かし欧州から広く集客しているわけですが、2025年はパリのジャパン・エキスポと同等の規模になりそうです。近年は成人エリアが非常に伸びており、2025年は独立したホールを単独で使用することが発表されています。また、ドイツの声優を中心としたエリアも伸びています。
一方、アニメ各社が注力するのが「アニマジック」(ドイツ語公式サイト)で、日本からのゲストが手厚い、現地ファン注目のイベントです。2025年は『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する』の原作著者とコミカライズを担当するマンガ家の参加が発表されています。
近年会場をヴィースバーデンに移した老舗イベントの「コンニチ」(ドイツ語公式サイト)は、ドイツ語圏最大の有志によるアニメ・マンガファン向けイベントを謳い、ファン交流の場として長く愛されています。2024年は『フリーレン』の制作陣を招聘するなどゲスト企画にも力を入れています。
マンガ出版社が最も注目しているイベントとしては、ライプツィヒ書籍見本市と併催される「マンガ・コミック・コン」(ドイツ語公式サイト)に行ってみるのもよいでしょう。
現地でのローカライズ事情については日経新聞でも取り上げられることはありますが、ドイツの事情はまだあまり注目されてない印象です。
こういった事情に興味がある場合は、今回挙げた大型イベントの中でも特に「アニマジック」(アニメ系)、「マンガ・コミック・コン」(マンガ系)をチェックしてみるのも良いと思います。
今回は以上です。交流や観光のヒントになれば幸いです。
タイトル画像:「アニメフェスティバル・カッセル」でのライブドローイングの様子。(筆者撮影)