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ECBは75bpの利上げに踏み切り、インフレに対抗していく姿勢を鮮明にした。


これまでハト派メンバーであるレーン理事やシュナーベル理事は、漸進的な措置を正当化するような発言をしてきた。それをサポートする根拠としては、①不確実性が高いこと、②ユーロ圏の賃金伸び率が抑制されていること、③経済成長の環境は悪化しており、今後数四半期には景気後退に陥る可能性が高いこと、④急激な利上げは周辺国の国債市場の圧力を高めかねないこと、があげられる。

それでも、タカ派が優位であったのは、インフレがECBの予想を大きく上回り続けていることがある。HICP上昇率は第2四半期にECBの予想よりも50bp以上高くなり、8月のデータを踏まえると、第3四半期には予想を200bp近く上回る軌道にあることもわかっている。また、エネルギー価格の高騰も続いている。コアインフレ率が過去最高の4.3%に上昇している一方、基調的なインフレを示す、より広義の指標も一段と上昇している。タカ派優位の中、ほぼ予想通り75bpの金利引き上げが決定したのは、利上げ幅が予想を下回れば、実質的に金融緩和ととらえられることについて、ECBが望まなかったことも指摘できる。

さて、今後はどうなるか、だ。我々は、9月75bp上昇の後、10月50bp、12月25bp、更に来年第1四半期に二回の25bp利上げを経て、政策金利の着地点である2%を目指すのではないかと見ている。それでも、インフレと成長の両方の見通しを巡る高い不確実性により、会合ごとのアプローチの維持となる可能性も見ておくべきではある。

また、政策金利以外の資産購入プログラムAPPの再投資や預金金利の階層化、TLTROをどうするか、といった措置への対応にもより一層注目が集まることになるであろうことも気にしておきたい。


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