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「他人に頼れる」力こそ、独力よりもはるかに大切

「キャリア」「専門性」「リスキリング」などの言葉は今日もSNS上にあふれ、もっと自分を磨かねば… と我々を焦らせます。しかし、本当にそれだけが正解でしょうか? いつも幸せにうまくやっている人は、実は「他人に頼る」というスキルがとても高いように思うのです。

これは、これまでの人類の歴史を考えたときにもとても重要な考え方だと思っています。


私たちはいま、自分自身の力を大切にすることが肯定される社会に生きています。だから、自立心や独立心を育むことが重要視される一方で、他人に頼ることは「弱さ」と見なされてしまうことも少なくありません。

しかし実際には、他人に頼ることこそが、自分だけの力よりも大切である場面がとても多いはずです。

元来、人間は社会的な生き物でり、他者との関係は本能的に重要です。そして、自分の弱さもさらけだした上で、思いきって「他人に頼る」ことは、その関係性や信頼性をさらに深めることにつながるはずです。

人と人との強固な信頼関係が築かれた場合、お互いが抱える問題を共有し、より良い解決策を見つけることができるようになります。人間の歴史は、これを繰り返すことによって成り立ってきたといえるでしょう。


たとえば、自動車王ヘンリー・フォードはこのように言ってます。

「人が集まってくることが始まりであり、人が一緒にいることで進歩があり、人が一緒に働くことが成功をもたらす」


フォードは、大規模生産システムの先駆者である一方で、とても従業員のことを良く考えた経営を実践していたことでも知られています。

1914年に、従業員に対して日給5ドルを提示し、従来の賃金のほぼ2倍として世界を驚かせました。また、1週間あたりの労働時間も減らしました。週5日間、40時間労働を提示したのですが、これは現代の水準ともほぼ変わらないですよね。このため、非常に優れた多数の熟練工の確保に成功したそうです。

フォードが成功したのは、「人に頼る」ことの本質を非常によく理解していたからだともいえるでしょう。労働者から搾取するという発想ではなく、力を発揮してもらうために人にできるだけ尽くした、ということです。


また、レオナルド・ダ・ヴィンチは人類史上における「天才」の代名詞のような存在ですが、実は自分自身の未熟さや限界をかなり強く自覚していたとも言われています。彼は、基本的な読み書きと算術以外には、当時の学校教育も十分には受けていませんでした。

ダ・ヴィンチは、だからこそ、他の専門家たちに積極的に協力を仰ぐことによって多くの画期的な発明や芸術作品を生み出したと言われています。例えば、人体解剖学の研究には医師の協力がありましたし、都市計画や建築設計については、建築家の助力が必須でした。

また、ダ・ヴィンチが手がけた複数の作品には、他の芸術家や職人が制作に関わったものもあるようです。彼は、実は「コラボレーション」の名人だったということですね。


ひとりの人間では、能力や知識に限界があることは明らかです。それは、歴史上の天才と言われる偉人たちでもそうだったということです。一人で完璧に何かを達成することはとても難しく、他の人と協力することはすべてにおいて極めて重要です。

だからこそ、「人に頼る力」が大切なのです。自分のスキルや経験が足りないところは、自分自身でそれらを得ようと時間をかけて努力するよりも思い切って人に任せてしまう、そのような姿勢と決断が不可欠だといえるでしょう。


人と協力することで、自分だけで発想できなかったような斬新なアイデアや視点も得ることができます。限られた視野のみにとらわれず、異なる分野の人の知見を進んで取り入れることで、よりクリエイティブかつイノベーティブな成果を生み出すことが可能になるということです。

コラボレーションは、個人の力を超えた価値を生み出すことができる、極めて強力な手段です。


そのためには、まず、自分の弱さや足りないところを認めること。そして、素直に他者に協力を求めることが重要ですよね。

それこそが、人類が歴史を通じて実践してきた、最高の成功戦略だといえます。そしてそれは、これからもずっとそうでしょう。

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