見出し画像

死別の悲しみを癒やすためにできることとは

それまで当たり前のようにそばにいた家族が亡くなったとき。
多くの人は、時間と共にその悲嘆を乗り越えます。
しかし、どうしてもそこを乗り越えられない人もいます。

共に過ごした時間が大切だったからこそ乗り越えられない
その人が、それでも前を向くために必要なことは何か。

自ら、家族の死をきっかけにした悲嘆を経験した看護師が、自らの体験をもとに丁寧に取材した記事が公開されています。

まわりの人にもわかるひどい状況だったのだろう。1カ月ほど休職することになった。その後、もとの病棟に復帰したが、死別の経験が患者や遺族と重なり、患者をみとるたびに「当時の私」が見え隠れし、胸がかき乱される。眠れず、食べられず、体重が10kg以上も減った。限界と感じ、長期間休んだあと、退職することになった。

日経xwoman「夫が死んでも朝はくる 看護師が実体験から考える遺族の支え方」より

6カ月以上激しい悲しみが続き、日常生活に影響する「遷延性悲嘆症」と呼ばれる状態は、様々な身体性・精神性の病気に繋がりやすくなることが指摘されています。
そして6か月以上悲嘆が続くと、その後、2年から3年たっても悲嘆が続いているケースが多いことも報告されています。そうした場合は、医療者を含めた周囲による支えが必要なことがあります。

記事の中でも取り上げられていますが、家族の死別を経験した人たちが集まる「遺族会」はひとつの支えになりえます。遺族会には、遺族自身が立ち上げているものもあれば、ホスピスや緩和ケア病棟、各自治体の精神保健福祉センターや保健所などが主催する専門家がかかわる遺族会もあります。

大切な人を亡くしてつらいときに知っておきたいこと

大切な人を亡くしたとき、もしくは、周囲に大切な人を亡くして悲嘆を感じている人がいるとき。それぞれの立場でどのようなことを知っておいたほうがいいのか。記事の筆者、名嘉真久美さんは次のようにまとめています。

大切な人を亡くしてつらいときには

1)十分に悲しむ:周囲の人に心配されないように悲しみの気持ちに蓋をしてしまう傾向があるが、無理をしすぎないことも大切
2)遺族と話す:今後どう気持ちが変化するのか知りたいと思う遺族は多い。同じような経験を持つ遺族とつながることで癒やされるときもある
3)焦らない:早く元気にならなきゃダメだと思う遺族も多い。体力と気力が回復するまで待つ
4)よりどころを探す:気兼ねなく話せる時間と場所を探してみる。知らない人の方が話せる場合もある
5)時には医療機関に相談することも必要

友人や知人が大切な人を亡くしたとき

1)励まさない:十分頑張っているので励ましは禁物、労いの言葉をかけて
2)アドバイスをしない:ついついダメ出ししていることもある
3)話を聴く:タイミングによっては話したがらないかも。話を始めたらじっくり耳を傾ける

日経xwoman「夫が死んでも朝はくる 看護師が実体験から考える遺族の支え方」より

遺族会の主催者や医療者への取材をもとに、丁寧にまとめられた記事です。読むには会員登録が必要ですが、無料で読めます。
当事者の立場にいる人も、その状況にいる知り合いがおられる方も。そうでない人も。良かったらぜひ、ご一読ください。
https://woman.nikkei.com/atcl/column/21/061700088/032100027/

なお本記事を書かれた名嘉真久美さんは、私が代表理事を務めるメディカルジャーナリズム勉強会で実施しております「伝え手育成集中プログラム」
第2期の受講生です。受講をきっかけに、このような深い記事を世に出されたことに、関係者としてとても嬉しく感じています。

#日経COMEMO

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?