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成人年齢引き下げを契機に子供の貧困について考えよう

子供の貧困問題と成人年齢引き下げ

明日から2022年度の新年度を迎えるが、それにあわせて成人年齢の引き下げが行われる。これによって、親の同意がなくても契約ができたり、10年有効のパスポートの取得、国家資格の取得、性別取り扱いの変更審判を受けられるようになる。また、これまで16歳とされてきた女性の結婚可能年齢が18歳に引き上げられ、男性に合わせられる。一方、18歳になっても、飲酒、喫煙、公営ギャンブル、養子の迎え入れ、大型中型自動車免許の取得は20歳に据え置きのままだ。

この法改正のよって、若者の自立の後押しとなるだろうと期待の声も聞こえる。また、若者の貧困や親からの虐待を受けてきた子供たちにとっては、少しでも早く自立ができるようになることは好ましい変化と言える。

10代を孤立させないセーフティネットを提供するNPO法人DxPでは、親からのネグレクトを受けている15~25歳の子供たちのために、食糧支援のユキサキ便を送り、職業能力を身に着けてもらうためにノートパソコンの寄贈をしている。約2年間の活動で、食糧支援は累計5万食を超える。

契約の年齢制限が恵まれない子供の絶望となる

子供は親を選ぶことができない。恵まれない環境に生まれた子供たちのために、支援する団体と子供の選択肢を増やす成人年齢の引き下げは歓迎すべきだ。そういった意味では、引き下げに伴って解禁されることが、意思決定と契約に関する項目に集中していることも評価できる。

東京の台所に寄稿された21歳女性の体験談は、幼少時代のあまりにも厳しい状況に驚かされる。子供は、親や家族に愛されながら育てられるとは限らない。

この女性のケースでも、高校卒業と同時に家を出たくても、家賃や奨学金などの契約が障害となって保護者からの制約を受ける。奨学金に至っては、20歳を過ぎても両親の所得証明が必要なので、余計に性質が悪い。

恵まれない家庭環境に生まれた子供たちを助けるために、セーフティーネットとなるNPOや行政の支援が不可欠だ。どれだけ発達した社会であっても、格差と貧困を無くすことができない。加えて、家庭の在り方を教えてくれる教育機関は日本には存在しない。

(余談だが、私はカトリック式の結婚式を挙げたのでカトリックの婚前勉強会に参加したが、あれは素晴らしいものだった。結婚しようという男女は、是非、勉強することを強くお勧めしたい。)

子供の貧困という社会問題を正面から受け止め、問題の本質を理解したうえで、課題を解決するためのNPOなどの直接的な支援と法改正による支援活動の援護が重要だ。NPOの活動に直接参加しなくても、NPOのスポンサーとなって支援することもできる。社会課題の解決は、特定の人だけが取り組んで達成できるほど甘いものではない。

成人年齢の引き下げという契機として、今一度、子供の貧困問題について考えて欲しい。私たちは、今や子供の貧困問題では、世界最貧国の1つなのだから。

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