泳げデータの世紀:社長が背中を見せて、泳げ!
「データの世紀」の連載記事に合わせて、この「データの世紀」で行うべきこと、考えるべきことについて、整理をしてきました、今回は、少し次元を上げて、データの世紀の事業開発や、事業創造について、考えてみましょう。ずばり、デジタルトランスフォーメーションの取り組み方についてです。
デジタルトランスフォーメーションは、誰でも考えられる。
デジタルトランスフォーメーションについて、多くの企業で議論されているようであり、私のようなコンサルタントにも相談があります。おそらく、多くの企業で、デジタルトランスフォーメーションとは何なのかという、意味理解や、何を行うべきかという会話が展開されているのではないでしょうか。
ところで、デジタルトランスフォーメーションという言葉と、会議という言葉には大きな溝があるようです。デジタルトランスフォーメーションという、ややSFの匂いがする、そして遊び心のある単語と、会議という決まった手順で進行するビジネスの場面とには、大きな違いがありそうです。会議で、デジタルトランスフォーメーションと会話をすると、とても論理的で、難しい会話になるようです。そして、会議ゆえに、結論を求めたくなるのですが、デジタルトランスフォーメーションとは、未知の世界の話で、実は結論にたどり着きにくいのではないでしょうか。デジタルトランスフォーメーションについて、会社で会話を行う時には、創造的な空間と、創造的な人たちが参加する必要があるかもしれません。
さらに重要なことは、デジタルの知識よりも、「こんな世界にしたい」とか「こんな生活にしたい」というアイディアを出すことが重要ではないでしょうか。この「データの世紀」で取り上げられた事例の中にも、創造的な会話から生まれたものもあるのでしょう。創造的なアイディアから、誰も考えなかったビジネスのヒントがあり、そのヒントがあれば、今度は少し論理的にそのビジネスは、ビジネスになるかを考えるのです。
デジタルの技術の延長線から、デジタルトランスフォーメーションを考えるのではなく、無邪気にどんな世界にしたいという会話を行ってみることを、お勧めしています。実は、デジタルが詳しくないとお話される方も、少なからずデジタルを使った生活をしており、一定のデジタル技術を体感しているのです。つまり、知識ではなく、体験という意味では、だれでもデジタル体験者であり、会話に参加できます。技術からデジタルトランスフォーメーションを考えるのではなく、体験からデジタルトランスフォーメーションを考えてみるのも、良い取り組みでしょう。
もっと、企業の中のデジタルトランスフォーメーションの会話を、誰でも参加でき、創造的なものにすることが、今求められていることの一つでしょう。
社長が自ら背中を見せる
ところで、この創造的な「デジタルトランスフォーメーション」の議論、必ずぶつかる壁が2つは、あります。1つは、その「組織らしい事業」になっているか。もう1つは、「リスクがわからない」という壁です。
最初の「組織らしい事業」について考えましょう。どの企業・組織にも、風土・カルチャー・雰囲気があります。デジタルトランスフォーメーション時代に、これら風土・カルチャー・雰囲気を失ってはいけません。デジタルトランスフォーメーションの時代は、Society5.0時代でもあり、より人が、人らしく活躍できる時代になると思います。その企業・組織の人が、行いたい事業を、デジタルトランスフォーメーションの時代には、より一層行うべきです。それが、その企業・組織の価値にもつながるのです。
この風土・カルチャー・雰囲気をみんなで奏でる指揮者は、社長でしょう。まず、みんなで議論したデジタルトランスフォーメーション時代の事業について、社長は自ら、「その企業らしい事業なのか」判断を行う必要があります。大きな判断になるでしょう。しかし、この判断を行うことは、とても重要な社長の役割です。
次に、「リスクがわからない」ことへの対応です。新しい事業、そして本当に未知の事業では、リスクの判断がとても難しくなります。お手本になる事例がないからです。この時も、社長は「やってみよう」と判断する必要があるでしょう。一番良くないのは、「リスクがわかならい」から、もっと議論するように差し戻しを繰り返したり、時間稼ぎをしたりすることは良くありません。
社長が、「やってみよう」と言って、新しい事業をけん引するくらいでないと、新しいデジタルトランスフォーメーシ時代の事業は、走りださないのでしょう。
つまり、今まで以上に、社長が動き、社長が活動している背中を見せることをしないといけないのです。それが、デジタルトランスフォーメーション時代に求められているのではないでしょうか。
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