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痒い所に手が届いていない日本の緊急経済対策

政府は5月6日までの緊急事態宣言について対象地域は全国としたままで一か月程度延長する方針を固めました。

そこで、すでに特定警戒となっている13都府県の不要不急消費がさらに一か月止まり、特定警戒以外の不要不急消費がさらに一か月間半減したと仮定すると、通常に比べて最大▲17.8兆円(既存▲8.4兆円+延長分▲9.4兆円)の家計消費が減ることを通じて、GDPベースでは通常に比べて最大▲15.2兆円(既存▲7.2兆円+延長▲8.0兆円)、年間GDP比でトータル▲2.7%の損失が生じ、77.8万人(既存36.8万人+延長分41.0万人)の失業者が発生する計算となります。

こうした中、米国で成立した大型経済対策法案と日本の緊急経済対策を比較すれば、日本の対策には緊急性に欠ける項目が含まれていることには注意が必要です。

例えば、「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」として1.8兆円が配分されていますが、こちらについては経済活動が再開しないと意味がありません。

また、「今後への備え」として使い道が決まっていない新型コロナウィルス感染症対策予備費も1.5兆円計上されています。

一方、緊急性の高い生活保障対策に絞れば、真水28.0兆円から緊急性の低い項目を除いた22.0兆円(GDP比4.1%)分が配分されていることになり、米国の生活保障に近い項目を合わせるとGDP比3.9%ですから米国の対策とそん色ありません。

ただし、生活保障と並んで最も重要な医療関連支出の規模が米国ではGDP比1.5%も組み込まれているのに対し、日本では「感染拡大防止・医療供体制整備・治療薬開発」としてGDP比0.3%分しか配分されていません。

また、1年間で失業者が110万人以上増加したリーマンショック時の雇用対策には、「雇用調整助成金や中小企業緊急雇用安定助成金」(0.6兆円)以外にも「緊急人材育成・就業支援基金」(0.7兆円)や「ふるさと雇用再生特別交付金」(0.25兆円)「緊急雇用創出事業」(0.45兆円)等、雇用の下支えだけでなく、新たな雇用の創出も図られました。

こうしたことからすると、緊急事態宣言の延長に伴う失業増や経済の悪化を最小限に食い止めるためにも、政府は迅速で大胆な医療機能強化と雇用創出に対する追加の対策が求められると思います。

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