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chocoZAPの新市場を創るマーケティング戦略からの学び

RIZAPグループの決算説明資料を読んでいたら、コンビニジムのカテゴリーをつくり出している「chocoZAP」がものすごい成長していることを知りました。

会員数は55万人(2023年5月15日時点)。「年商200億円規模」(5月の決算説明会より)を稼ぎ出すビジネスに急成長していました。

2023年3月期 決算説明会資料より引用

年内には、エニタイムフィットネスやカーブスなどの先行プレイヤーを追い抜き予測も出ています。

1年でこの拡大スピードはすごい…

急拡大する事業の裏側にあるマーケティング戦略のポイントを整理してみると学びが多かったです…

1. 既存の組織資源を生かす、顧客をズラす→新市場を創る

日経クロストレンドの記事に、市場の考え方に関して面白い視点が紹介されていました。

「普段筋トレをしている層からパイを奪うのであれば、確かにレッドオーシャン。ただ、ターゲットは運動をほとんどしない初心者。全国に膨大な人数がいるわけで、間違いなくブルーオーシャンが広がっていると判断した」(鎌谷氏)

日経クロストレンド  chocoZAP、年内にも業界1位へ 前代未聞のリアルA/Bテスト大作戦

図解します。

既存のライザップで培ってきた組織資源をちょこざっぷに転用して市場を創る

運動を全くしていない人・挫折して続かなかった人の課題と、市場の大きさに着目して、戦略設計がされています。
既存市場の中で、実は見過ごされている顧客の無消費=潜在市場を捉える視点は学びになります。

chocoZAPの顧客像とこんな体験設計(ライフジャーニー)なのでは?の仮説を生成AIで整理

2. 仮説検証→データ蓄積→先行投資のサイクル

こんなレベルでテストマーケティング実施していたの…と驚きました。

具合的には、リアル店舗を使ったテストマーケティングを8カ月にわたって実施し、A/Bテストを通じて潜在的な声を洗い出した。それも、RIZAPの名前を伏せて、「FIT PARK24」「FIT PLACE 24」「ZAPAN」といった覆面ブランドを冠したフィットネスジムを東京近郊47カ所にオープンさせる徹底ぶりだ

日経クロストレンド  chocoZAP、年内にも業界1位へ 前代未聞のリアルA/Bテスト大作戦

テストマーケティングは何のために実施して、どんな意思決定に役立つのかを理解する上で、ちょこざっぷの実践はとても参考になります。

市場を独自の視点で捉え、入念なテストマーケティング実施をした上で、大規模な投資がされているプロセスは、事業規模に関係なく参考になる考え方だと思っています。

3. 既存の業界の常識を壊すマーケティングミックス4P

最後にマーケティングミックス視点で整理します。

マーケティングミックス4P視点で整理

・新しい顧客に対して新しい価値・商品(Product)+価格(Price)をつくる
・一気に認知を高めるための、出店戦略(Place)+広告(Promotion )を独自路線で攻める

の構造は、他社が真似できないマーケティング戦略のつくり方として参考になります。

決算説明資料でも明確に説明されています。

chocoZAPの出店戦略
先行投資をどのように回収するかも明確に設計されている

chocoZAPがコンビニジムの新カテゴリーを創造して、急成長している要素をトレースしての学びポイントをまとめます。

1. 既存の組織資源を生かす、顧客はズラす→新しい価値をつくる
2. データ蓄積が優位性につながる構造をつくる
3. 既存の業界の常識を壊すマーケティングミックス4Pをつくる

chocoZAPのマーケティング視点で分析しての学び

市場を独自の着眼点で捉え、仮説の精度を高めるためにデータと向き合い続けることが、他社が真似できない構造づくりにつながることが理解できます。

chocoZAPが、順調に拡大し、日本のフィットネス市場や運動・健康に対する考え方を変えていくのか?

2023年末の時点での変化をまたチェックしていきたいと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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