男女差

男脳・女脳なんてものは根拠のない迷信

「話を聞かない男、地図が読めない女」というアラン・ピーズのベストセラー本があります。お読みになった方も多いと思います。

また、米国の心理学者アラン・グレイが25年前に発刊し、ベストセラーとなった『ベスト・パートナーになるために 男は火星から、女は金星からやってきた』も、最近『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』というタイトルに改変して発売されました。

古今東西、こうした男と女の考え方や行動の違いについての本は売れます。

しかし、結論から言うと、男脳や女脳という違いはないし、その違いがあったとしても、それは性別によるものではなく、個人の違いであることが当たり前になりつつあります。一人になりたい女も多いし、話を聞いてほしいおっさんなんて、僕の周りだけでも無数にいます。いや、むしろ今は、話を聞いてほしくて、お金を払って聞いてもらおうとするおっさんもいるくらいです。

今度、6/17に対談イベントをさせていただく脳科学者の中野信子さんも、「女性のほうが感情的である、男性のほうが論理的である、とか、そういう言説、まったく根拠がないですよね。扱うと儲かるタイプの擬似科学と言える」と一刀両断します。

東大脳研究者・池谷裕二教授も同様のことをおっしゃっています。

「男脳vs.女脳」は世間で騒がれますが、「女肝vs.男肝」「男腎vs.女腎」は
話題になりません。脳の性差の大半はメディアなどによって醸し出された虚構です。こうした議論の急先鋒は、ロザリンド・フランクリン医科学大学のエリオット博士です。今月の「神経画像」誌では、2千人以上の脳の構造を比較し、扁桃体の大きさに性差がないことを示しました。昨年は6千人以上の脳を精査し、海馬の大きさにも性差がないことを報告しています。


でも「男らしい」とか「女らしい」とか言うじゃないかというご指摘もあります。男女の違いについてわかりやすくまとめるとこんな感じになります。

これについても「男らしいと定義された行動をする女性もいるし、その逆もある」ということにしかならないのです。

そもそも生物学的な男・女と男らしさ・女らしさは絶対的に紐づくものではありません。そして、男であっても100%男らしいわけではなく、男らしさと女らしさ(と定義されているもの)を両方何パーセントずつか持っているものなんです。誰しもが。

心理学でいうところの父性原理と母性原理というものがあります。

しかし、これも、父性100%の人間もいないし、母性100%の人間もいないんです。もっと言えば、職場では父性が強く、家庭では母性が強くなるというように、同じ人間でも環境によって変わるものです。環境だけではありません。上司と部下とで態度が変わる人がいるように相対する人間によっても変わります。

人間はこのように、確固たるひとつの特徴を持っているわけではなく、いろんな面を持つ「一人十色」なんです。

各個人が父性要素、母性要素をどれくらい内包するかについては、僕はソロ男女、既婚男女ともに300問以上の設問によって多変量解析したものがあります。←全国20-50代N数3000。

結果については、別途ご紹介しますが、ひとつ言えるのは、ソロ男女も既婚男もほぼイコール。唯一既婚女性だけが、違ったということです。これは、既婚女性の特性ということではなく、彼女たちが置かれた環境に起因するものです。父性も母性も基本的には環境によって影響されます。

言い換えれば、時代環境や社会環境が変われば、いわゆる男脳・女脳といわれた特性は、極論すれば逆転することさえあると思います。高度経済成長期、消費を支えた主婦の買い物脳は母性的だったかもしれませんが、独身率や一人暮らし率が上昇し、生活環境がかわった今となっては、旧来の母性的部分を刺激するマーケティング一辺倒では通じないかもしれません。

拙著「ソロエコノミーの襲来」では、そういう話も書いていますが、脳科学者中野さんとの対談でもこの部分(男脳と女脳)を深堀りしていきますので、ぜひご来場ください。




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