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genaralとuniqueの掛け算で「レア」なキャリアを考える。 キャリア資産の「流動性」と「代替性」

お疲れさまです。uni'que若宮です。

今日は「流動性」と「代替性」について考えてみたいと思います。


「流動性」と規格

先日、こんな記事がありました。

中山チーフアナリストは戸建て人気を支えるもう一つの要因として「日本経済の先行きの不透明感から、住宅に『手離れ』の良さを求める人も増えている」と指摘する。
転勤や転職などで将来に自宅を売却する可能性を考えれば、手ごろな価格で規格も統一された建売住宅は市場の「流動性」が高い。このため注文住宅と比べれば販売しやすい場合が多いとされる。

かつて「マイホーム」信仰が強かったときには、完全にオーダーメイドでつくれる「注文住宅」の方が好まれました。ライフスタイルとしても今より流動性が低かったですし、家を買うということは「終の住処」という感じで、一生に一度の買い物ならこだわりのものをつくりたい、というわけです。

ただ、所有から共有へという流れや二拠点、多拠点、ノマドワーカーのような感じで「不動」産である「住」もだいぶ流動的なものになりました。

住居を買う際も「リセール」を見越して物件を検討するようになっているわけですね。


そしてリセールを考慮してその「流動性」を考えると、「注文住宅」よりも「戸建て分譲」の方が有利、というわけです。

分譲戸建ての方が規格化されておりコストも下がりますから、価格が注文住宅よりも安い、ということも一因でしょうが、それだけではなく、流動性を考えた時に「ユニークさ」には適切な度合いがある、ということのようにも思えます。

どういうことかというと、住まいを選ぶ時には立地など他にもたくさんの条件もある中で、フルオーダーでつくった個性のあるものは一般的な需要にマッチしない可能性があるので再販がしづらいのです。家探しをしていてせっかく良いかも、という家があっても、内装や部屋のつくりが独特な感じだから好みに合わないなあ、となることもあるでしょう。そういう意味では規格化された戸建て分譲の方が「変に色がない」ので、流動しやすいわけですね。


これはたとえば、サイン本みたいなのも同じかもしれません。

僕も著書を出しているので、講演の時などに著書へのサインを求められることがあります。そういう時にはサインを書く前に一応、「メルカリで売りづらくなりますよ?」と確認します(笑)。

特に「○○さんへ」というような宛先をつけると余計に流動性が低くなるでしょう。その人本人にとっては価値があがるかもしれませんが、「ユニーク化」によって他の人に当てはまりづらくなり、流動性が下がるわけです。


トレーディングカードは数とレア性のどちらも大事

こうしたことを考えると、「流動性」を考えるとユニークなものよりも一般的なもののほうが有利ということになります。

流動性を考えると、ある程度数があるほうがよい。その方が需要をつくりやすく、流動性が高まるわけです。

たとえばトレーディングカードやNFTのようなものを考えた時、「レア」なカードの方が価値が高いですが、それはただ一点ものであればよいというわけではありません。カードがもし一枚しかなけれればトレーディングできませんし、数枚ではトレーディングは盛り上がりません。むしろほとんどのトレーディングカードがそうであるように、各種類一枚ずつというわけではなく、大量にあるカードの絵柄も合ったほうがいい場合があります。ある程度多くの人が所有できるような「数」があるからこそ、それを欲しがる人たちのニーズが生まれ、「交換」も成り立ちます。

しかし一方で、すべてが同様にgeneralでレア性がないと価値は高まりません。コモディティ的になってしまい、今度は「代替性」が高くなってしまうからです。要は「君が持ってるそのカードは、あっちの人も持ってるから別にいいよ」という感じですね。

本当にユニークだと「流動性」がつくりづらい一方で、みんな一緒だと「代替性」が高くなり、結局は価値が下落してしまう。

そう考えると、ちょうどトレーディングカードのように規格化されたカードの中で「レア」であるような、genaralとuniqueの掛け算だと価値をつくりやすい、ということかもしれません。


general × uniqueでキャリア資産を高める

これとのアナロジーでキャリア資産を考えると、「一般的タグ」と「ユニークタグ」のどちらもを持っていて掛け算できる人が最強、と言えるかもしれません。

たとえばあまりにニッチな特殊なスキルすぎると、それをそもそも必要としている人が少なくなります。ユニークさは大事ですが、その分ニーズの絶対量も減るので仕事としてニーズマッチしづらい部分もあります。

そういう意味では、いま市場で求められている「流動性」を意識し、一定generalなスキルを身につけることも大事でしょう。職種でいうと「エンジニア」や「マーケティング」「営業」はだいたいどんな業界でも求められるものです。


ただし、こうした職種単位でも他との違いがなければやはりコモディティ化してしまうので注意が必要です。昭和の時代にはなにか資格をもっておけば食いっぱぐれはない、みたいなところもあった気がしますが、最近は「資格」というのがだいぶ下火になった気がします。

ただニッチなものではなくて、ベースとしてgeneralな経験やスキルを持っておくと人材市場での「流動性」が担保できます。これはこだわりの強すぎる注文住宅よりも戸建て分譲の方が再販しやすい、というのに似ています。

しかし全く他と同じでも価値があがりません。さらにその中でユニークな「レアキャラ」になることができれば、キャリア資産価値は高まります。

終身雇用ではなく、転職や複業を含めて「職の流動性」が高まっていくこれからの時代には、general × uniqueの掛け算でキャリアを構築していくことがポイントになってくるでしょう。

ただしもちろん、「流動性」なんか考えないという方向性もアリです。のちのち売る気もないし、他の人が要らなかろうが、自分だけに一番フィットした、自分のこだわりがとことん詰まった注文住宅をつくる、というのも資産価値うんぬんではなくひとつの幸せの形です。

とことんまでユニークに、誰とも似ていないキャリアを、というのも(それでは食えないかもしれないというリスクを覚悟すれば)いい人生だと個人的には思います(ある意味ではアート思考的というのはそういうことです)。

ただ、自分らしいユニークさというのはそれほど簡単には見つかりません。よく「守破離」というように「型を守る」中からそれを「破」り、最終的に型を「離」れた独自の型をつくりだすことができるわけなので、そういう意味でもまずはgeneralスキルをつけながら、自分らしいuniqueさを見出していく、というのが良いのではないかと思います。

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