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「人気作品」とコンテンツ環境の整備について考える=ドイツにおけるジブリ作品を例に

ドイツでは最近、スタジオジブリ作品のTV放送が頻繁に行われ、「ジブリ・マラソン」という言葉まで登場しました。今回は、ジブリ映画のファンはなぜ多いのかについて流通の観点から考えてみたいと思います。

今年1月、配信大手Netflixは、スタジオジブリの作品を複数の国で配信すると発表しました。

配信国にはドイツも含まれており、2月から随時、21本の作品の配信が行われています。

筆者は常々、日本国外における日本のアニメ作品の人気は、その作品が現地で視聴できる状態にあるのか、という要素が非常に大きく関係していると考えています。

コンテンツの視聴環境の有無と言い換えていいかもしれません。もちろん、作品そのものの内容が現地で「うける」かどうか、といった観点ももちろん重要です。

ドイツでジブリ作品のファンだという人と遭遇する確率は近年、より多くなっているように感じます。もちろんジブリ作品は面白いです。ただ、いくら面白いといっても視聴環境が整備されていなければ、非合法な海賊版などを除けば、知る機会はありません。

Netflixで配信されたジブリ作品ですが、実は他にも視聴する機会が提供されています。

まず、DVDやブルーレイに関してはドイツではLEONINEという企業(旧:Universum Anime)がジブリ作品の映像を販売しています。各作品、DVDとブルーレイ版が販売されているだけでなく、豪華ボックス仕様のコンプリート版(下の公式サイトからのスクリーンショットを参照)なども発売されています。

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次に、TVでの放送ですが、以前からドイツの複数のTVチャンネルで、各作品が散発的に放送されてきました。特に民放のProSieben Maxxはここ最近、ジブリ作品の放送に力を入れています。春の復活祭や冬のクリスマスといったドイツの大型休暇に合わせて放送しています。

ジブリ作品が朝から夜まで1日中放送されることもあり、「ジブリ・マラソン」と形容されることもあります。

そのような放送イベントに関するニュース記事を目にすることが最近は増えました。今回はせっかくなので、ドイツのアニメニュースサイト「Anime2You」に登場した関連ニュースから、放送作品のタイトルリストを作ってみましたのでご覧ください。

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2019年は春と秋、冬に大量のジブリ作品が放送されています。この大量TV放送の傾向は2020年も続くかどうかは分かりませんが、すくなくとも作品は今後ともTVで放送されそうではあります。

このほかにも過去には、映画館がジブリ映画週間を開催したこともあります。

まとめます。ドイツではスタジオジブリの作品を視聴する機会は、

・配信プラットフォーム
・DVD/ブルーレイ
・TV放送
・映画館

と、様々なチャンネルが用意されています。このように、コンテンツの視聴環境は2重、3重に整備されており、作品を視聴する機会は容易にかつ多く提供されています。ジブリ作品の知名度の高さは、こうした環境整備の手厚さも相まっていると見ることもできそうです。

もし、「海外で人気がない」と評価される作品があったとします。そういった場合、もしかしたら、作品が現地で見られないだけなのかもしれませんといったことはないでしょうか。

世界に広まるアニメ文化ですが、作品が面白ければ人気は自動的に高まるのでしょうか?そこには、視聴環境を整えるという経済的側面の下支えが大いにあると筆者は考えます。皆さんはどう思いますか?

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タイトル画像:一挙放送を「ジブリ・マラソン」と報じるドイツのオンラインニュースからのスクリーンショット。

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