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アニメ配信最大手、無料ユーザーの視聴制限へ=日本国外の話題

日本国外におけるアニメ配信最大手のクランチロールは、無料ユーザーの視聴を制限するようです。日本のアニメ視聴者には直接影響のない話題のためか、日本では特に取り上げられている様子はないですが、ドイツのアニメニュースサイトでは多くのコメントが投稿されるなど注目を集めているようです。

今回はクランチロールのこの「変更」について考えてみます。

筆者の目に止まったのは、ドイツのアニメニュースサイト「Anime2you」が3月25日付けで公開したこのニュースでした。

ざっくり内容を紹介すると、該当するのは無料で登録できるユーザーです。次の「春アニメ」シーズンからは視聴可能なタイトルを8本のみとし、広告インサート型による無料の視聴形態は、それぞれ3話までに制限するというものです。今までは有料プランのユーザーは日本での放送開始直後に視聴できていたのに対して、1週間待つ必要がありました。つまり、1週間待てば、広告も一緒に見ることで無料で全話視聴することが可能だったわけです。

クランチロールといえば、ソニーグループが買収し日本でも注目されました。今年1月の日本経済新聞の記事によると、買収の背景には動画配信大手ネットフリックスに対抗する狙いがあったとの見方が示されています。

アニメ配信専門のクランチロールに対して、ネットフリックスが配信するのはアニメだけでなくドラマや映画など幅広いです。

クランチロールがソニーグループの傘下にはいったことで何が起きたのでしょう?それはひとつには、アニメ専門の配信会社の寡占化です。競合する他社がいなくなってしまったのです。

そして今年3月頭には、これまで競合していたソニー傘下のファニメーションやワカニムは段階的に廃止、クランチロールに統合されるとの報道がありました。

この報道によると、有料プランの値上げは予定していないとあります。しかし、冒頭紹介した記事のような無料プランの視聴制限は、無料ユーザーに課金を促すものになります。無料ユーザーにとっては、実質的な値上げとも見られているようです。ドイツのニュースとはなりますが、情報のソースをたどるとクランチロールの英語サイトでした。つまりサービスを展開する世界全体(日本除く)が対象になると思われます。

今回の突然の変更について冒頭の記事にはさまざまな意見が寄せられいます。例えば、低価格戦略で競合企業に対抗し、競合企業がいなくなってからは値上げなど収益力の強化に方針を転換したという分析です。資本主義経済のセオリーとしては至って「普通」な経営戦略なのかもしれません。一方で、今まで広告を視聴するだけで無料で視聴できていた人たちの不満も大きいようです。また、そもそも広告インサート型による出稿費の売上で配信経費を賄うといったビジネスモデルが成立しなくなったのかもしれません。

そこで思い出されるのは、日本ではTVアニメという形式で長くアニメが制作されてきた点です。オープニングやエンディング前後の、また途中のCMを見ることで、視聴者は実質的に無料でTVアニメを見ることができます。

これは筆者の意見ですが、実はこういった課金を必要としない視聴形式は、より多くの視聴者を取り込む側面もあったのではないかと思うわけです。であれば、非課金ユーザーの視聴を制限するという今回の「変更」は、負の側面もあるように思いました。

アニメの世界的な配信ビジネスを巡っては、今後も新しいビジネスモデルが模索されていくことでしょう。筆者としては、世界で稼いだ利益が日本の制作現場に還元されて労働環境の改善など、うまく機能すればと願うばかりです。

皆さんはどう思われますか?

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タイトル画像:無料ユーザーの視聴制限を伝えるドイツのニュースサイトを撮影


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