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「予期できるリスク回避」と「予期せぬ偶然の楽しみ」

8月末の台風10号、講演とテレビ収録があった関係で、大分に出張したのだが、思い切り影響を受けた。

そもそも28日入りの30日帰りという2泊3日の予定だったのだが、28日は飛行機が飛ばない可能性がありということで、前倒しで27日入り。

28日テレビ収録は問題なく実施したが、29日講演が台風で鉄道もバスも止まり、講演内容を収録してのちほど配信という形となってしまった。

30日も飛行機が飛ばず、延泊。

町中がまるであのコロナ禍の緊急事態宣言時のように誰もいない感じに。

31日にやっと帰京。
結局、4泊5日になってしまった。

東京~名古屋間の新幹線が運休で、迂回路線が大混雑という阿鼻叫喚という事態もあたようで。
巻き込まれた方はお疲れ様でした。

そんな中、各地で川の氾濫などで浸水した家屋のニュースなどが流れたが、この気象は当分続くことが予想される中で、もはや一軒家に住むことはリスク以外の何者でもないのでは?と思った次第である。

河川の近くもそうだが、あれだけの大量の雨が短時間で降れば、普通の土地でも冠水しそう。

床上浸水などしてしまえば、当然その後後始末も補修も必要になる。しかも、台風や大雨は今後何度来るかわからない。せっかく人生かけて35年ローンで建てた一軒家でも、大雨くるたびにそんな目にあうのではたまらないだろう。
高床式住居(但し木造ではなく鉄筋)でも建てるなら話は別だが。
特に、地方こそそういう際に「ぽつんと一軒家」はヤバい。

だからって、別にタワマンはおすすめしない。

あれはあれで、もし大地震が起きて、エレベーターが止まれば、高層階ほど上り下りで大変な目にあう(東日本大震災で高層階から地上のコンビニまで買い物するだけでどれだけしんどかったかを思い出す)。

鉄筋のマンションの3-5階あたりの低層階に住むのが一番いいんじゃないだろうか。

ところで、台風のせいで、なんだかんだ大分に4泊もしたのだが、観光に行くこともできず(交通機関が麻痺したから)、さりとて車もないので、ぶらぶらと徒歩で散策していたのだが、住居用マンションがとても多くてびっくりした。さらに建設中のもたくさんあった。

なんだかんだコンパクトシティ化しているようだ。

地方の人口減少と過疎化は不可避だし(そもそも日本全体の人口が減るのだから)、土地買って一軒家に住むより、集中してマンション住まいにした方が防災上も生活利便上もいいのではないかと思うのだ。

そういう意味で、「田舎に移住で空き家活用」なんてのは、ちょっとこの気象環境をまったく考えていないダメな政策だろう。

いつくるかわからない浸水を怖がっても仕方がないと言う人もいるかもしれないが、東京の麻布十番でさえあんな冠水状態になるわけで、「いつくるかわからない予期せぬ災害」ではなく「当然予想できる」ようなものになるだろう。

こんなニュースもあるが、どうなの?

ところで、大分にて台風で交通機関がすべてストップして途方にくれていた時に、同じように大分から四国へフェリーで渡ろうとして欠航になった見知らぬおっちゃんと話をする機会があって、いろいろだべっていた。
おっちゃんは、このまま待っていても無駄だと、クルマで大分から下関抜けて、尾道から橋を渡って愛媛に行くという大回りを決行するという。
「途中まで乗ってくかい?」
と言われたんだが、いや別に四国に行くつもりはないし、広島で降ろされても新幹線動いていないし…www

名前も何の仕事かも知らないおっちゃんとの束の間の会話をへて、互いに「お気をつけて」と別れた。
多分、もう一生会うことはないだろうが、これもまた「接続するコミュニティ」の一期一会なんだろう。

札幌出張の際に、深夜のラーメン屋で隣同士になったおっちゃんと娘夫婦の話を謎に相談されたり、青森ではフラッと一人で入った居酒屋のカウンターの両隣にいた見知らぬおじさんとお姉さんとずっと青森の独身生活事情をネタに酒を酌み交わしたり、長崎ではファミレスで隣り合った3人家族の4歳くらいの娘になぜかなつかれて遊んであげたり(こっちが遊んでもらったのか)、いろいろある「予期せぬ偶然」は楽しい。

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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。