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起業したときに一番失敗したこと

起業したとき、いちばん失敗したこと。それは、「他者に対していつも100%の成果を求めてしまった」ことです。(言い出しっぺの)起業家なら、死ぬ気で努力して成果を出すのはあたり前。でも、「なんで他のメンバーも自分と同じくらいがんばらないのか?」などと思ってしまったんですよね。勘違い。若かった。

自社メンバーに対してもそうだったし、なんなら、外部のパートナーさんたちへもそういう態度を見せていたかもしれません。思うに、いろいろ焦ってたんでしょうね。あまりに気負いすぎて、周りが見えてなかった部分が大きいと思います。


起業前に新卒で入った人材系ベンチャーは、本当にすごくがんばる人ばかりでした。毎日深夜まで、そして土日の仕事もあたり前。起業志望者が多かったこともあるでしょう。だから、自分もつねに「100%以上の成果を出し続けなければ生き残れない」と、ずっと必死に仕事をしていました。

そして入社から6年経ち、初めて自分で起業した後も、まだその感覚を持ったままだったようです。自分はもちろんですが、ジョインしたメンバーも、小さな会社なんだからハードに仕事するのはごくごくあたり前のことだろうと。

2000年代前半の話なので、当時のベンチャー界隈の雰囲気や時代感を考慮したとしても、まあひどい話ですね。我ながら。


しかし早く気づくべきだったのは、起業した自分自身がめちゃくちゃモチベーションが高いのはごくあたり前の話なんだけど、周りにもそれと同じような水準を求めるのは違っていたということ。

そういうことは頭では理解していたつもりでしたが、日々めいっぱい走り切る中で、メンバーに対してもつい「もっとがんばろうよ…  いまそんな楽してる場合?」みたいな気持ちが先行してしまったのです。

その結果、事業は短期間で伸びましたが、メンバーとの関係は徐々に悪化していきました。会社全体にも、なんともいえない疲弊感みたいなものが漂う感じに。そして、「もう辞めたいです」みたいな話が各部署から連続で出てくるようになってしまいました。ちょっとヤバい状況です。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB193QH0Z10C24A7000000/


そのとき、気づきました。ただ「がんばれ、がんばれ」と他者を鼓舞するだけでは単に空回りするだけで、経営としてはまったく機能しないのだと。

人に対して何かを求めたり期待するのであれば、自分はその2倍、3倍努力する必要がある。ましてや、ベンチャー経営者なのであれば(少なくとも気持ち的には)人の10倍とかそれ以上とか。


そしてリーダーたるもの、たとえメンバーの出した成果が期待に満たなかったとしても、自分の責任においてそれをバックアップしたり挽回まで持っていかねばならない。

そのように考え方を切り替えました。


幸い、手遅れにならない内に気づけたようで、少しづつですがいろいろなことがうまく回り始めました。社内・社外ともに、互いの関係性や雰囲気も徐々に良くなっていったのを覚えています。


どんな組織も、結局は生身の「人」の集まりです。あるべき論やロジック、そして空回りする勢いだけではうまくいくはずもなく、結局は気持ちとか感情、それこそがいちばん大切なんですよね。あたり前のことなんですが、私の場合、それに心から気づくためには苦い学習期間が必要でした。

もし他者の出した成果が期待に満たなかったとしても、相手の立場を考える気持ちがあるなら、もっと寛容になり、サポートしたり一緒に解決の方法を考えることができます。

さらには、自分の姿勢を振り返り、自分自身の努力が足りなかったとか、人に求める割には自分がやれていないことに気づくことができるかもしれません。


勢いだけで、力づくで引っ張っていくのがリーダーではない。単に「ビジョン」だけあってもダメですね。自分の姿勢が見えていないリーダーは、いくらパーパスやビジョンを唱えようと、身勝手な人間だと思われるだけです。まずは、自分自身の熱意や日々の行動で示さねば。


これからもまだまだ、そういうことを学びながらやっていきたいと思ってます。


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