アーティストの常識の壊し方から学ぶ
最近はアーティストの思考に興味があり、アート作品が生まれた背景を調べたり、体系化したりしています。アーティストの思考から学ぶことで、マーケティング発想だけでは違いがつくりにくくなっていると感じているのが取り組みの背景にあります。
アーティストトレース、というアーティストが作品を生み出す思考プロセスを読み解く実験をはじめています。
アーティストトレースを繰り返す中で、アーティストがもつ「常識の壊し方」はビジネスパーソンが学ぶべきだと考えるようになりました。
アーティストの常識の壊し方を理解する
歴史の転換点となる作品を生み出しているアーティストに共通していることは「常識を壊している」ということ。
例えば、マルセル・デュシャンの「泉」
男性用の小便器がアートになるなんて誰も考えなかったと思います。
アーティストがどうやって常識を壊しているのか?を読み解いていくと、仕事に活かせる学びが得られるのでは?と考えました。
アーティストの常識を壊すステップ
常識を壊す
=非常識な領域を見つけて、そこに作品と意味をつくる
常識を壊すステップ
①既存の常識を理解する
②非常識な領域を見つける
③非常識な領域に作品と意味をつくる
この3つのステップで常識を壊しているのではないかと考えてみました。
良いアイデアはバイアスを壊すことから生まれる
この考え方は、ビジネスデザイナー濱口秀司さんの「Break the bias」の方法を参考にさせてもらっています。
アイデアのつくり方に興味がある方は、こちらの記事を読んで頂くことがオススメです。
既存のアイデアを視覚化・構造化して、既存アイデアのバイアス=思い込みを壊すことの大切さが書かれています。
あるものに対するバイアスを見つけて壊すためには、まず「視覚化」、「構造化」しなければならないというのが濱口氏の主張だ。
アイデアを単に4つ示し、それぞれのバイアスを見つけ、壊しなさいというテストをしても、答えることは不可能だ。たとえ、1つ1つのコンセプトを説明されても無理なはずだ。
4つのアイデアを、A、Bという特性に分けて並べ替えて見せる(図表4参照)。そうすると、それぞれのアイデアの特徴が明らかになり、AとBは二律背反か、つながっているか、Aを取るとBが取れなくて、Bを取るとAは取れないといった関係性が見えてくる。
※濱口秀司が語る「バイアス壊しが重要な理由」 図解:アイデアの構造化と視覚化 より引用
常識を壊しているアーティストの例
アーティストの作品を例に図解します。
男性用の小便器をアート作品にした、マルセル・デュシャンの思考例です。
ピカソの「アヴィニョンの娘たち」も、非常識な領域を見つけ出し、新しい意味を創り出していると読み解くことができます。
常識を壊す思考を鍛えるトレーニングとしてのアート鑑賞
アートはビジネスに役立つと言われ、書店には様々な啓発本が並ぶ。記者もいくつか読んではみたものの、「感性を鍛える」「想像力や発想力を養う」……。なんだか抽象的だ。
日経新聞:「アートは知性で見るもの」 異なる価値観学ぶ近道 アート×ビジネス新世代(5)
アート思考を学ぶ、アート作品をみて感性を鍛えようと言われても、よくわからない。
なので、この問いを持ってアート鑑賞をすると、仕事に活かしやすくなると最近感じています。
このアーティストの作品は、どのように常識を壊しているのだろうか?
具体的には、下記の流れで鑑賞してみる。
アーティストが常識を壊したプロセスを鑑賞する
①既存の常識を理解する(作品が生まれる前にどんな常識があったか?)
②非常識な領域を見つける(この作品の非常識さとは何だったのか?)
③非常識な領域に作品と意味をつくる(非常識な領域をどのように根づかせたか?)
①アーティストの常識の壊すプロセスをフレームをもとに理解する
②自分も仕事に同じフレームと思考を取り込む
この2つを意識すると、アートからの学びを仕事に活かしやすくなると考えています。
アートに限らず、常識を壊すフレームを持って仕事をすると、新しいアイデアが生まれやすくなるはずです。
皆さんも、ぜひフレームと思考をアート鑑賞や、仕事の中で試してみてください!
さらに、常識を壊すアイデアをつくるだけで終わらずイノベーションの起こし方を体系的に学びたい方は、濱口秀司さんのイノベーションの作法を読む方がオススメです!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!