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広告を掲載するメディアが、政治的に中立でなくなった場合、広告主は広告を掲載し続けるべきか?


3連休に飛び込んできた「トランプ前大統領の銃撃」はショッキングだった

日本の日曜日の朝に飛び込んできた、トランプ前大統領の銃撃事件は、あまりにもショッキングなニュースでした。

そして、多くのテレビ番組、ラジオ番組で、この「銃撃」が与える「大統領選挙」への影響を推測し、論じていました。

そして、米国では多くのSNS空間で、この銃撃に関することが、情報発信され、共有されています。それだけなら良かったのですが、マーケターに影響のある行動も出始めています。特に、気になるのは、

起業家のイーロン・マスク氏は13日、トランプ前大統領が演説中に襲撃された事件を受け「トランプ氏を完全に支持する。彼の早い回復を祈る」とX(旧ツイッター)に投稿した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN140K70U4A710C2000000/

という、自分が関与するSNSメディアで、自分の考えを表明した点です。

"X"は、政治的に中立性を保てるのか?

日本で、広告主が広告の掲載メディアを選定するときに、そのメディアが政治的に中立であることを、気にします。それは、主に以下のような理由からです。

  • ブランドイメージへの悪影響

    • メディアの政治的立場と広告主のブランドイメージが一致しない場合、消費者は広告主に対してネガティブな印象を持つ可能性があります。 例えば、環境保護を訴える企業が、環境問題に懐疑的なメディアに広告を出した場合、消費者は企業の誠実さを疑うかもしれません。

    • メディアが偏った情報を発信し、それが広告主のブランドイメージを傷つける可能性もあります。 例えば、特定の政治団体を支持するメディアに広告を出した場合、広告主は意図せずその団体の活動に賛同しているように見なされる可能性があります。

  • 消費者の反発

    • メディアの政治的立場に反対する消費者は、広告主の製品やサービスをボイコットする可能性があります。 特に、政治的な主張が強いメディアに広告を出した場合、消費者の反発は大きくなる可能性があります。

    • ソーシャルメディア上で、広告主に対して批判的なコメントや投稿が拡散される可能性もあります。 これにより、広告主はブランドイメージを損なうだけでなく、売上や評判にも悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 法的リスク

    • メディアが違法な内容の情報を発信した場合、広告主も責任を問われる可能性があります。 例えば、ヘイトスピーチを含む記事に広告を出した場合、広告主は法的責任を負う可能性があります。

    • メディアが広告主の許可なく、広告主の製品やサービスに関する誤った情報を発信した場合、広告主は損害賠償を求めることができます。

  • 広告効果の低下

    • メディアの政治的立場が、広告主のターゲットとする消費者に受け入れられない場合、広告効果が低下する可能性があります。 例えば、特定の政治思想を持つメディアに広告を出した場合、その思想に反対する消費者は広告に目を向けなくなる可能性があります。

現在の"X"の状態が、政治的中立でないかは、よくわかりません。ただ、SNSという空間は、編集長が明確にいるメディアではありません。

現在、Xを使っているユーザーが、イーロン・マスク氏に好意的な人が多いとしたら、Xでの発言が、イーロン・マスク氏に牽引され、全体として中立性が薄くなる可能性がないわけではありません。

米国の大統領選挙の間に、日本のシミュレーションを行うと良いのでは

多くの日本企業は、今回の米国の大統領選挙の事案に、直接的な影響を受けることは少ないでしょう?しかし、日本の選挙シーズンに、候補者がSNSを有効的に使うことは、今回の都知事選挙でも理解できたことです。

もし、日本でも選挙期間に、SNSが、政治的に中立でないときに、そのメディアに広告主が広告を掲載すべきなのか、検討しておいても良いことの一つかもしれません。
そのためには、

  • 米国の大統領選挙とSNSの関係

  • 米国の大統領選挙期間中に米国の広告主がSNS広告をどのように運用しているのか

を、観察、整理しておくことが良いかもしれません。

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本間 充 マーケティングサイエンスラボ所長/アビームコンサルティング顧問
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