「新しい何かを身に着けたい」と思う理由をつくろう
こんにちは、ローンディールの原田です。「人生100年時代」「リカレント教育」といったことがここ5年くらい良く語られるようになりましたが、その流れがどんどん現実味を帯びてきていますね。一人ひとりが自分のキャリアをどう考えるか、会社に依存できないという個人の認識も高まってきているように感じます。
一方、最近では「リスキリング」なんていう言葉が出てきたように、企業や行政などの立場からも、どのようなスキルを持った人材を育成するか、ということに注目が集まっています。デジタル人材、何かはその最たるものですね。
ただこういった人材育成の制度としてどんなスキルをどうやって身に着けるか、ということを議論するより前に、考えるべき大事なことがあるのではないかな、と思うのです。それは、スキルを獲得したいと思う「理由」や「目的」です。
まぁ当たり前のことかもしれませんが、「将来仕事がなくなるから」とか「ちゃんと稼げるように」とか、それだけの動機では、また学生時代の詰め込み教育と変わらなくなってしまうように思います。そうではなく、自分自身が何のために新しいスキルを身に着けるのか、身に着けたいのか、ということが大切ではないでしょうか。
もちろん、「自分はこんなことがしたい」だから「こんな力を身に着けるんだ」というのはすごくシンプルです。ところが、ここに大きな一つの落とし穴があります。それは「自分のやりたいこと」を見つけることのほうが圧倒的に難しいということです。
今年、ローンディールでは「レンタル移籍」以外にいくつか新しいプログラムを開始しました。個人が会社をはみだしてやりたいことを具体的に実現していくための「4th place lab」というプログラムや、ミドルシニアの方を対象にした地域や高校教育の課題を学ぶ「大人の地域みらい予備校」といったプログラムなど。
これらのプログラムをやりながら、「やりたいこと」を見つけるというのは本当に難しいんだなということを痛感しました。新しいことに挑戦しましょうと言われても、そう簡単にはできないわけですが、できない理由を知識やスキルの問題に感じてしまいがちですが、突き詰めていくと本当は「やりたいこと」がわからないという理由に突き当たることが圧倒的に多いのです。
頭で考えていたらある日突然「これがやりたい!」ということが決まって、走りだせるなんてことは滅多にありません。起業して6年経った私でさえ、「あれ?自分がやりたかったことって何だっけ?」ってなることはあるわけで、まぁそりゃぁそうですよね。
そうなると、やっぱり理由や目的はさておき、とりあえずスキルアップをすべきなのでしょうか?それはやはり詰め込みで、なんか本質的じゃない気がするんですよね。
そこで、私たちが今考えているのは、まずフォロワーになるというステップです。だれか、何か、自分が心から応援したいと思うプロジェクトにかかわること。そこで、自分のやりたいことというわけじゃなくても、ちょっと応援したいということはあるはずです。
そういう「誰かのために」ということを理由付けにしながら、新しい力を身に着けていく。「やりたいことは何か」を考えるんじゃなくて、どんな人や活動を応援したいか、世の中に今ある選択肢の中から探してみる。そうやって徐々に自分を見出していく、というステップがあるんじゃないかと思っています。
組織の中で働いていて、今、リスキリングが必要と考えている方がいたら、どんなスキルを身に着けるかと考えるよりも前に、いろんな人に出会うこと、いろいろな人の想いに触れること、そういう機会をつくってみてはどうかなぁと思うのです。制度をつくる側からしても、まずはそういう外を見る機会を増やしてみる、というやり方もあるのではないかな、と思うのですがいかがでしょうか?
来年は私たちも、そんな機会をもっともっと社会に提供していけたらいいなと考えています。ちなみに、直近で私たちがご提供する外を見る機会、はこちら。ご興味あればぜひ!
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ということで、2021年、これが最後の投稿となります。お付き合いいただき、ありがとうございました。それでは皆様、よいお年をお迎えください。