ツイッターの課金・コミュニティ機能追加で加速が期待されるクリエーターエコノミー
2021年2月を振り返った時、インターネットのメディアのトレンドとして音声SNSの「clubhouse」の急速な盛り上がりが記憶されることと思います。COMEMOの投稿でもclubhouseを取り上げた投稿が多く、とても参考になります。
そんな中、2月25日(米国時間)にツイッターのアナリスト向けバーチャルイベントでリリースされた同社の新しいプロダクトはとても注目に値するものでした。個人にとって自分がこだわりを持っているニッチな分野での情報発信によって収益を得ることが出来る、いわゆる「クリエーターエコノミー」がますます加速するのではないか、と感じさせるからです。
21年1月にはメールマガジンの配信プラットフォームを手掛けるオランダの新興企業レビューを買収しており、広告収入に依存しない新規事業の育成にも力を入れる。メルマガなどの独自コンテンツを提供する対価としてフォロワーへの課金を可能にする「スーパーフォロー」と呼ぶ機能を検討していることも明らかにした。
最も注目を集めているのは「スーパーフォロー」と呼ばれる、月額課金のしくみです。「アナリスト・デイ」用に公開されている上記資料(40ページ目)によると、アカウント保持者が例えば月額$4.99(約530円)と設定することができ、ユーザーは「独自限定コンテンツ」「購読者限定ニュースレター」「コミュニティへのアクセス」「お得な情報と割引」、購読者向けの「サポーターバッジ」など、購読者限定のコンテンツやアクセスを獲得することができます。*アナリスト・デイのアーカイブ動画の1時間06分以降に今回のプロダクトリリースについての紹介がされていて、閲覧が可能です。
昨今話題のclubhouseの競合として既にベータ版が一部提供され話題になっている音声SNS機能のTwitter Space(@TwitterSpace)、そして2021年に買収したオランダ発のニュースレター「Revue」なども購読者限定のコンテンツ配信の手段として活用が可能で、ツイッター利用者が多い国内においても、とても大きなインパクト、可能性をもたらすのではないかと推測します。
無料でオープンなツイッターの世界観を好む人もいるとは思いますが、専門的な知識や知見に対して情熱を傾けている個人が報酬を得る選択肢、それを可能にするサービスが提供されることは素晴らしいことで、大きな時代の流れを反映している、と感じます。
既に米国を中心に大手メディアを辞めて(或いはレイオフされて)ニュースレター配信サービスである「Substack」で収益を上げている人が多く存在し、ブログやポッドキャストでファンからの投げ銭を「Patreon」などのサービスを通じて受け取っている人も急激に増加中で、「クリエーターエコノミー」バブルとすら感じる程です。
更に注目しているのは現在開発中のコミュニティ機能です。Facebookグループと同じように、同じ趣味、属性、テーマ、業界、地域などで簡単にグループを創ることが可能になるそうです。もちろん、スーパーフォローの購読者限定のコミュニティを作成することで、オンラインサロン的なメンバー同士の交流、ディスカッションが可能になります。
ざっと見ただけでもClubhouse(音声SNS)、Facebookグループ(コミュニティ・プラットフォーム)、Substack(ニュースレター)、Patreon(課金・決済機能)など、欧米で注目の課金・コミュニティプラットフォームの強みを全て取り込むような戦略で、ツイッターの既存の基盤による強みを活用することでどのようなことが今後起きるのか、とても興味深いです。
米国では今回のリリース直後から、この新しい機能がどのような意味を持つか、多くの記事やclubhouse上で既に話題になってます。例えば組織に所属するジャーナリストにとって「スーパーフォロー」機能を利用して個人として収益を上げることの可否、或いは専門的な知見を持って発信する個人の台頭による脅威など、様々な視点から議論が行われています。
自分が以前から興味・情熱を持っていたことを発信することがこれだけ容易になり、また収益を得ることも可能になる時代を迎える中で、春の季節を前に、新しいチャレンジとして取り組むにはよいタイミングかもしれません。
[[過去参考記事]]
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