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読書が苦手だったぼくが読書会をおすすめする理由
ぼくはもともと読書が苦手だった。どちらかというと、文字より音声やビジュアルに親しみがあり、図録や雑誌、映画の方が好きだった。特にラジオドラマが好きで、音で物語を楽しむこともある。意外に思われるかもしれないが、偉人の思想や哲学、人文書はすらすら読めるのに、ビジネス書はなかなか読みすすめられなかった。それでも、知りたい、学びたいという気持ちが強く、今では事業を成就させるためにもビジネス書も読むようになった。今年に入って購入した書籍は19冊、図書館で読んだ本は3冊。しかし、仕事が忙しいと読書の時間を確保するのが難しく、さらにスマートフォンやデジタルコンテンツが溢れる現代では、気づかぬうちに読書の時間が奪われていく。
だからこそ、ぼくは「読書会」を強くおすすめする。今回は、読書を習慣化するコミュニティの力とその事例、読書会のアイデアをシェアしたい。
ちなみに、iPhoneのInstagramとYoutubeのアプリは削除した。
読書会がもたらす「ワクワクする新しい読書体験」
読書は単に情報を得るだけでなく、語彙力や表現力を高め、感情表現や想像力を鍛える貴重なトレーニングとなる。また、リラックス効果があるとされ、ストレス発散にもつながる。生成AIが発達する今だからこそ、「人間らしさ」を育む読書の価値は、より重要になってくるだろう。
読書会であれば、読後に語り合える楽しさがあり、他の参加者の解釈や視点に触れることで、新しい発見に出会えることもまた魅力だろう。
しかし現代では、忙しさやスマートフォンの普及によって読書文化が衰退しつつある。その大きな要因の一つが、「ドゥームスクローリング」と呼ばれるSNSやニュースサイトを延々とスクロールしてしまう習慣だ。多くの人がこの悪循環に陥り、気づけば何時間もスマホを見続けてしまい、結果として読書の時間が奪われている。
このような環境だからこそ、個人の努力だけで読書習慣を取り戻すには難しい。そこで、読書をコミュニティの力を借りて習慣化する方法が注目されている。
魅力的な読書会の事例
読書会を活用することで締め切りを意識しながら本を読み進めることができる。「この日の読書会に参加する」と決めることで、自然と読書に集中できる。
実際、OSIROを導入する読書会コミュニティはとても多い。一例をあげるなら、日本最大級の読書会コミュニティ「猫町倶楽部」さんでは、多彩なスタイルの読書会を企画されていて、昨年は同じくOSIROでコミュニティを創設されている芥川賞作家・平野啓一郎さんの「文学の森」さんとのコラボ読書会を開催し、コミュニティの垣根を超えた豊かな読書体験を提供されている。
さらに、書評YouTuberのアバタローさんのコミュニティ「Book Community Liber」でもさまざまなアクティビティを通じて読書とアウトプットの場を提供され、「本と仲間と出会える、アウトプットの遊びの場」というコンセプトのもと読書会はもとより、メンバー同士の共創からライフスタイルブランドさえ生まれているから驚きだ。
「読書会」と聞くと少し固苦しい印象を持つかもしれないが、実際にはとてもワクワクする新しい読書体験を提供する場になり得る。例えば、「猫町倶楽部」さんと「文学の森」さんとのコラボ読書会は、赤坂のナイトクラブで開催され、しっとりと落ち着いた、非日常的な空間で著者の言葉を聞き、互いに感想を語り合う体験は刺激的だろう。
オシロ社的「変な読書会」のすゝめ
オシロ社でもさまざまなスタイルの読書会を実施している。その一例が「ペア読書会」だ。これは、2〜3名を一組として時間を定めて一定量を読み、内容を話し合う形式。
この読書会は、オシロ社の推薦図書『学習する組織』(ピーター・M・センゲ著)という組織づくりの名著があるが一人で読むにはハードルが高い。そこで一緒に読み進める仲間がいないと読破できないと思って始めたものだった。
ただ、ペア読書会の効能は読み進められることだけではなく、内容の理解にも大いに役立った。二人で読めば二人分の視点から、三人で読めば三人の視点からの発見や気づきがあるのだ。たった今読んだばかりのパートなのに、話し合うとそれぞれが違った点に注目していることがわかり、驚くこともしばしばある。
また、「リレー形式の非同期音読会」というユニークなアイデアもある。例えば『アルケミスト』(パウロ・コエーリョ著)を数ページづつ割り当て、社員で交代で音読して録音し、社内SNS(われわれはOSIROを使用)でシェアするという試みだ。これによりまるで一本の映画を観るように、一冊の本を共有しながら楽しむことができる。
さらに、映画館を貸し切ってスマホの電源を切り、2時間集中して読書をした後に語り合うイベントも面白そうだ。漫画なら、大きなスクリーンに映し出して、みんなでライブで読み進めるのも楽しそうだ。
読書を「共通のライブ体験」へ
こうした試みを通じて、読書は「個人の楽しみや学び」から「共通のライブ体験」へと変化する。特に、普段なかなか読書習慣が持てない人にとって、読書会イベントは継続的な読書習慣をつくるきっかけとなる。
企業においても、社内で読書会を行うことはチームビルディングの一環として有効だ。参加者が自分の考えを話すことで、お互いの価値観や思考を知る機会となり、コミュニケーションの活性化につながる。
読書文化を再び根付かせるためには、読書の楽しみ方そのものを進化させる必要がある。ナイトクラブでの読書、リレー形式の音読、映画館での読書会など、新しいスタイルを生み出すことで、本を読むことの価値が再認識されるだろう。読書で得られる様々な効能により、創造力豊かなクリエイティブな人々が増えるといいなと願うばかりだ。
現在、オシロ社ではある企業とともに新しい読書体験を提供する取り組みを計画中だ。近日中にシェアできると思うので、楽しみにしていてほしい。