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世界の金融当局は日本円を見直している?~外貨準備では円比率が上昇中~

「ドル離れ」は明らか
2回連続デジタル赤字の話が続きましたので、今回は趣向を変えてみます(アイルランドの秘密については近日やります)。先週3 月 29 日には IMF から外貨準備の構成通貨データ(COFER)が公表されています。毎回話題になるわけではありませんが、為替市場を中長期的に展望するにあたって重要なデータであるため、筆者は定期的に観測しています。日本の外貨準備にまつわる報道は為替介入への期待感が交錯する中で頻繁に目にするようになっております:

もちろん、日本のデータも重要ですが、IMFは四半期に1度、世界の金融当局(中銀、財務省、政府系ファンドなど)が保有する外貨準備の構成通貨割合を公表します。足の遅いデータではありますが、ボリュームが極めて大きいことから為替市場では断続的に注目されるテーマです。これらのプレーヤーをリザーブプレーヤーないしリザーブマネーとよく表現します(※外貨準備=foreign exhchange reserveゆえ、です)。

近年のリザーブマネーの動向を見ていると「ドル離れ」と「円の意外な復調」などが明確なテーマとして確認できます。この背景は何故なのでしょうか?リザーブマネーの変動は地政学も含むダイナミックなテーマです。今回のCOFERは関連の日本語報道が少なかったので、ここで簡単に整理しておきましょう。需給環境の変化がテーマ視される円相場にとって、筆者は重要な話と考えています。仮にリザーブマネーが円の選好を強めているのだとすると、需給構造変化が問題視される円にとっては意外な援軍です。外貨準備の構成は国家機密ですから、その真相を追求するのは憶測の域を出ませんが、状況証拠を積み上げると面白い事実も見えて来そうです:

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