失速する塚田農場
2010年代前半に盛り上がりをみせた、地鶏料理を売りにした居酒屋「塚田農場」が苦戦をしています。
自社・提携先の養鶏場の地鶏によって安価で美味しい料理を提供するだけではなく、来店回数によって昇格する「名刺システム」や、食べ残しの再調理や手書きのメッセージ付きデザート皿など、サプライズを演出した接客サービスで人気を博しました。
私も初めての訪問時には感動をした記憶があります。今でも、頻度は落ちましたが、たまに利用しています。よく行く店舗は、新卒の同期社員だけで立ち上げたと聞きました。そして、みんなの元気が訪問の度に落ちていくのが気になっていました。
それでも、ガラガラに空いているわけではないのですが、活気が失われているのは明らかで、それが既存店45ヶ月連続売上割れという結果に現れているのでしょう。
原因には模倣店の出現や人材不足などと語られていますが、私はそれ以外に以下の問題を認識しています。
・従業員のやる気に支えられたサービス
「名刺システム」や「サプライズ演出」は通常オペレーションに付加されるので、他の居酒屋と同等、またはそれよりも価格を抑えるためには人件費も上げられず、従業員にかかる負荷が大きくなる
・高どまりした期待値
当初のサービス水準が高く、口コミやマスコミの報道で訪問客の期待値はどんどん高まっていったが、サービス水準を維持するのは容易ではない
日本のおもてなしは、仕組みで担保するというよりも、接客スタッフの頑張りに依存してしまうケースが多く、どうしても継続性に疑問符がついてしまいます。
経営者は従業員の頑張りだけに頼らなくても、接客サービスの質が保たれる仕組みの開発に目を向ける必要があります。
また、お客さまからの評価は期待値を上回らないと高めることができません。常に高みを目指すことは素晴らしいことですが、期待値を管理するという観点も一方では求められるでしょう。
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