日本発VRゲームに大注目!の3つの理由
ちわっす!メタバースクリエイターズ・若宮っす!
先週、今週と「日本発VRゲーム」が大躍進していて胸アツなので今日はその話を書きたいと思います。
2024年7月、日本発のVRゲーム3本が世界を席巻!
ここ2週間、日本のスタートアップがつくったVRゲームが世界を席巻しています。
まずはMy Dearestさん。7月に出した『8番出口VR』と『ブレイゼンブレイズ』がどちらもグローバルでベストセラーに入るスマッシュヒットになっています。
『8番出口』はホラーテイストの謎解き脱出系ゲーで、STEAM版もかなり人気でしたが、それのVRパブリッシュ版です。
『ブレイゼンブレイズ』は正統派のマルチプレイVRアクションゲーム。
そしてMy Dearestさんと日本のVRゲーム界の双璧を成すUNIVRSさん。アーリーアクセス版を出したばかりの『進撃の巨人VR: Unbreakable』がリリース早々、週間ランキングで世界1位の快挙!
我が家でも家族で楽しんでいますが、アニメ声優のセリフや巨人の動きの再現性、何より立体機動の爽快感にテンションがあがります(そして酔わない!)。
いよいよ日本が世界のVR界をリードするターン、要チェックやで!
苦節10年!のVR市場を生き抜いて勝ち取った成功
VRゲーム市場でこうした成功を掴むまでの道程は、全く簡単ではありません。
2016年くらいから毎年のように「VR元年」が言われ、来る来ると言われながらなかなか市場が立ち上がらなかった長い期間も心を折ること無く、そのポテンシャルを信じ続けてつくり続けてきたものがようやく実を結んだ。本当に「苦節10年」という感じで、これだけでも本当に大々々リスペクト、大々々拍手なのです。
My Dearestの岸上さんやUNIVRS藤川啓吾さんとはお会いしてお話ししたこともありますが、お二人とも本当にずっとブレずにVRの可能性を信じてやってきた、その熱意がほんとすごい。
(My Dearest岸上さんのnoteがいつもめちゃくちゃアツくて大好きなのですが、こちらを読むとどれだけの信念と苦労があったか、その一端を感じていただけるかもしれません)
さらに言うと、『ブレイゼン』も『進撃』も当初予定からリリース時期を数ヶ月遅らせてのリリースなのですよね。それだけ魂を込めてつくったタイトルなわけですが、ゲームのリリースを数ヶ月遅らせるって経営的にはかなり胆力の要る、しびれる決断だったはずです。その間も開発費や人件費で資金はバーンし続け、売上は遅れ、しかも遅らせた分売上が伸びるかは正直未知数なわけですから。
こうした困難を乗り越えて世界のトップタイトルになったのが本当にすごくて、そしてこの成功は、両社にとっても、VR市場自体にとっても新しいステージを拓くだろうとワクワクします。
「日本発VRゲーム」の胸アツポイント3点
「日本発VRゲーム」の躍進について、ビジネス的にも注目のポイントが3つあります。
(1)市場が小さいからこそのグローバル
1つ目は、「グローバルヒットが生まれた環境」についてです。
先ほど述べたように、VR市場は来る来るとは言われつつ、なかなか広がっていきませんでした。ですが、足元の市場が小さかったからこそグローバル展開が加速したところもある気がします。
日本は特異な市場で、かつ国内でも十分な規模が(これまでは)あったため、スタートアップでもどうしても「まずは国内、国内で上手く行ったら海外」という戦略ステップが多くなりがちでした。
一方、たとえば国内市場だけだと小さいからこそグローバルに攻めていったお隣韓国は、家電やエンタメでグローバルな成功を収めています。
VRも市場として考えると、国内市場だけでは小さすぎた。だからこそグローバルを目指さざるを得なかった、と言えるかもしれません。
日本のスタートアップにとって、人口が減少し国内市場がシュリンクする中、これからはこれまで以上に「初手からグローバル」という展開が必要になって来ます。両社のグローバルでのスマッシュヒットはこの先鞭をつけ、ロールモデルとしても意義深いものです。
(2)ゲーム大国・日本の新しい波
2つ目に、ゲームは日本のお家芸です。
任天堂はまさにゲーム市場そのものをつくりましたが、その後セガやソニーなど、日本は新しい「遊び」を発明し、魅力的なキャラクターやコンテンツを生み出す力で世界をリードしてきました。
ただ、この20年で急激に伸びたインターネットゲーム、モバイルゲームではなかなかグローバルヒットが生まれませんでした。今でもこうしたグローバルな成功がスマホゲームで生まれるか、というとなかなかそうはいかそうなところもあります。スマホゲーは国内でも十分な市場があるために、まずは国内向けにゲームをつくり、成功したらローカライズして海外展開、という手順にどうしてもなりがちだからです。
その一方、VRは「国内だけだと小さすぎる」からこそ初期から海外展開を目指したゲームづくりをしてきた。かつまだ市場自体も小さいブルーオーシャンだからこそプレゼンスを一気に確立できます。これは「ゲーム大国・日本」の、グローバルチャレンジの新たな狼煙かもしれません。
(ただし、「グローバルを目指す」とは必ずしもモノづくりをgeneralなものにする、ということではありません。localでuniqueなものづくりを極めつつ、グローバルを常に視野に届ける工夫をしていくのがポイントだと思っています)
(3)次世代をグローバルにセットする
そして最後に、これが一番ワクワクするポイントなのですが、こうしてグローバルに成功したプレイヤーが出ることで、グローバルなマインドセットを持つ次の世代が生まれていくという点です。
日本のビジネスは(トヨタやユニクロなど勿論成功企業もあるものの)「失われた30年」などと言われ、グローバルで勝てていないイメージもありました。
かたやこの30年でものすごい躍進を遂げたのがスポーツ界です。野球ではいうまでもなく、大谷翔平選手がまさに世界を驚かせ続けていますし、世界のリーグで活躍するサッカー選手ももはや珍しくありません。
でも僕が高校生だった頃、日本がワールドカップに出場するなんて本当に夢のまた夢、あり得ないことだったのです。
野球では野茂さんやイチローさんがいて、サッカーではキングカズや中田英寿がいて、最初は無謀と言われ冷ややかな目で見られながらもその壁をこじあけてきた。
そうした「ありえないチャレンジ」から成功事例が出ると、それは「ありえること」になり、次の世代はそれをデフォルトに考えるようになります。いま野球やサッカーを始める子どもたちはDAY1から世界を夢みていることでしょう。この変化は複利で効いてきて、一気に世界が変わります。VRゲーム市場でも同じことが起こると期待できます。
メタバースという新大陸でグローバルに!
僕たちメタバースクリエーターズもまた、メタバースを通じて日本のコンテンツを世界に広げるチャレンジをしています。個人的に、日本はプラットフォームよりもコンテンツのレイヤーで世界をリードできる可能性が高いと考えていて、これから成長するメタバースでは必ず日本がリーディングカントリーになれると確信しています。
メタバース人口は現在約4億人という試算があり、これはすでに北米の人口を超えています。これはまさに新しい大陸が発見されたようなものです。
また、僕はよく今のメタバースのカオスな空気を「2000年頃のインターネット」とたとえていますが、実際、4億人というのは2000年頃のインターネット人口とほぼ等しいんですよね。
メタバースはまさに「新しい大陸」。僕は、あと数年で人々の社会活動や経済活動の半分くらいがバーチャル空間で行われるようになると考えています。
そして、こうしたエマージングな市場では、多くのプレイヤーが参入し切磋琢磨することが大事だと考えています。「競合」として敵対視し牽制し合うよりも、お互いの成功によりともに市場を広げていくためにエールを送り合う。相手から10%シェアを奪うよりも市場全体をN倍にしたほうがいい。
その意味で、岸上さんによる藤川さんのこのポストも、めちゃくちゃ胸アツでした。
みなさんの家にも「メタバースブーム」に購入したヘッドセットが眠っていませんか?
日本発のVRゲームが世界を席巻し始めたこのタイミングをきっかけに、もう一度引っ張り出してぜひ『ブレイゼンブレイズ』や『8番出口』、『進撃の巨人VR』を遊んでみてはいかがでしょうか。日本が世界を変えつつある、その熱量を感じることができるはずです。