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探究学習が「子ども達の将来」に与える影響

子ども達の学びが教室を越え、地域や企業と協働しながらプロジェクトを進める。そうした学習が様々な学校で広がりつつあります。
今回はそうした探究的な学びについて、モデルとなるケースを紹介します。

ミールキットを企業と開発

私が勤務する東京成徳中高では、高校1年次にDiversity Seminar(ダイバーシティ・セミナー)と呼ばれるゼミ形式の授業があります。

このゼミ形式の授業のひとつに「ビジネスで社会貢献をしよう」という授業があり、チームのひとつが「食品ロス」をテーマに設定。
食品ロスについて小さな子ども達がより身近に考えられ、学びながら料理をしてほしいという願いから「親子で楽しみながら料理ができる・ミールキット」を考案しました。
考案したミールキットについてSAGE JAPANという社会貢献プロジェクトでプレゼンテーションを行ないつつ並行して様々な企業にピッチを行い(話を持ちかけ)、最終的にコープデリ社の目に留まり、そこから2年間を掛けて実際の商品としてオリジナルのミールキットを開発・商品化するに至りました。
ミールキットのメニューを考える自体も大きな学びですが、実際の仕事として企業で働いている大人と関わること。お金の流れやプロジェクトの運び方など自分たちのアイデアをビジネスとして実現させていく過程に、学校では学べない価値のある学びがあると感じます。

LGBTについて調べ、オリジナルグッズを制作

別のチームはLGBTについて調査し、LGBTの人達を支援する「アライ」について社会に広めるためのアクションを行いました。

LGBTやアライについて同級生に正しく理解してもらうため、生徒達が作成したパンフレット
LGBTやアライの認知を広げるためのグッズも制作

LGBTに限らず世の中でなかなか認知されにくいテーマについて、同級生に紹介をしたりプレゼンテーションをすることに留まらず、様々なグッズの制作まで扱いながら、社会に対してアクションができるのも探究的な学習活動の魅力です。
このプロジェクトを中心となって牽引した生徒は、このゼミ形式の授業を通じて「日本の女性がより社会進出できるような仕事がしたい」と将来への思いを強くし、東京外語大学に進学。国際社会で女性の地位を高めるためにどのようなことができるのか。学びを日々大学で積み重ねています。

中高生が学びのプロジェクトを進めていく過程には様々な問題が発生し、うまくいかないことも多く、失敗やエラーとどのように向き合うのかについても重要な学習テーマのひとつ。
子ども達が自らのイメージを具体化しつつそれを形にすることは、実はとても大変なんだ…と、こうした探究学習で学びとることができると、その後の進路決定が明確になり、将来どんな仕事をしながら社会に貢献できるのかキャリアを決めていく大きなきっかけになると感じます。

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