電流で味覚を制御! テクノロジーで感覚を制御するという新潮流
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
まるでSFのような話が、現実のものとなりました。キリンホールディングスが発表した新商品「エレキソルト スプーン」です。
この商品は、去年のイグ・ノーベル賞を受賞した明治大学の宮下教授の研究成果を元にしたものです。日本人研究者は毎年のようにイグ・ノーベル賞を受賞しており、非常にユニークな研究をする土壌がわが国にはあるようですね。
テクノロジーを通じて人間の感覚を制御しようという試みは以前からありました。近年では機器やデータ処理能力の進化が進み、実際に商品レベルまで持っていけるようになったのでしょう。聴覚と味覚など、複数の感覚の相互作用によって人の行動や感情が変化することを「クロスモーダル」と言い、産学連携の研究が加速しています。
まだ、研究段階であり、明確な関係性は判明していません。しかしすでにわかっていることもあり、例えば高音を聞くと酸味や甘さを感じやすくなり、低温を聞くと、旨味や苦みを感じやすくなるというようなことです。
それは全く新しいことでもなく、嗅覚は味覚にとりわけ深く関連していますし、視覚の影響も大きいことはみなさんも経験的にご存知でしょう(例:美味しそうな料理)。先ほどの音環境が味覚に影響を与えるという考え方を「ソニック・シーズニング」と呼び、今後研究成果がもっと出てくると思います。特定の料理を出すときに旨味を増幅させるような音楽(ないしは環境音)を合わせるということも、当たり前に世界になるかもしれません。また、食べている瞬間のみならず、その手前の消費意欲にも影響を与えることもできそうです。
実際に博報堂は全国のファミリーマート3000店で「ビールのおいしさを増幅させる音楽」の実証実験を実施しました。店舗でビールの映像とおいしさを増幅する音楽を流したところ、6割の消費者が「ビールを飲みたくなった」と答えたそうです。
料理人が美的センスのみならず、音楽センスも身につけるようになる時代がそこまできているのかもしれません。
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タイトル画像提供:ぺかまろ / PIXTA(ピクスタ)