賃上げよりも手取りをなんとかしてくれと多くの中間層が思っているはず
なんかこんなニュースがあったのだが…
いまさら年収1000万円が多少増えたのどうのと言ってること自体が貧しい国になった証拠さのものだな、と。
個人年収1000万以上(男性)の長期推移を見ると以下の通りである。
増えているというのは直近年の話であって、1995年と比べればほぼ同等に「戻った」に過ぎない。増えているのではなくやっと戻っただけである。
そもそも年収1000万円が憧れとか夢とか、少なくとも25年以上も前から言われていた基準値だったような気がするのだが、それが一向に変わらないことこそ成長していない証拠だろう。
さらに、忘れてはいけないのは、1995年時点よりも給料から天引きされる割合は30%以上も増えているのである。つまり、25年前の額面1000万円と今の1000万円とでは手取りが30%も低いことになる。
これがいつも言っている国民負担率のステルス増税である。要するに、1000万円以上もらっている割合も増えてないどころか、仮に1000万円もらっている人でも実際に手にする金額は25年以上前の人より減っていることになるのだ。
で、この1000万円以上の増減以上に問題なのは、人口ボリュームの多い中間層が貧乏になっていることである。1995年と2022年の各年収層の割合を比較してみよう。
見事に300-600万の層がそっくりそのまま300万以下の層に移行しているにすぎない。
格差社会論で売文している大学教授なんかはこれを格差社会とかいうんだろうが、格差が広がっているというよりは、本来中間層としてそれで生活をしていけるはずだった層だけが貧乏化しているということである。要するに中間層の空洞化。
実は、これこそが出生減と婚姻減の原因でもある。
何度も言っているのでアレだが、出生減は婚姻減である。婚姻が1つ減れば自動的に出生数は1.5人減る。逆にいえば、結婚がひとつ増えれば1.5人の子どもが増える。私の独自の指標である「発生結婚出生数」というものだ。疑うなら自分で人口動態の長期推移から計算すればいい。「発生結婚出生数」で検索していただいてもいい。私の書いた記事がヒットするだけだと思うが。
年収中間層の減少とは、ニアリーイコール若者の年収減である。男の結婚には「年収300万円の壁」といわている通り、300-400万円で大体25-34歳の男性は結婚している。勘違いがあるが、令和の今でも初婚している男の年齢中央値は29歳台である。半分は20代のうちに結婚している。
婚活サイト界隈では「最低でも年収500万円」とかいろいろ言われているが、実際は20代で結婚に踏み切れるための稼ぎが最低300万円なのである。300万円あれば結婚しているのだから。が、その最低ラインですら20代のうちに到達しない割合が増えている。
しかも、前述した通り、その少ない300万にも満たない額面給料の中から社会保険料ががっぽり差し引かれている。所得税は累進で、年収低い方が低くなるが、逆に年収が少ない方が、社迂回保険料負担率は高くなる。
金はなくても恋愛はできる。実際、年収300万円以下でも恋人がいる男はたくさんいる。しかし、こと結婚となると話は別だ。
事実として、今児童いる世帯というのは世帯収入900万未満だけが減っている。
しみったれた話はしたくないのだが、せめて若者の手取り中央値300万円くらい達成してほしいものだ。少なくとも20代の若者が月20万円程度の収入しかなく、恋愛や結婚はおろか、毎月の家賃と食費で手一杯のような状況になっている現実は改善されるべきたど思う。
増税メガネと揶揄された岸田首相が、所得税の1年限りの定額減税とか低所得者層への給付とか言っているが、そういうことではない。
「経済、経済、経済」と連呼した首相に対して、「給付、給付、給付」とか言ってる党があるが、あほかと思う。一時の給付なんか何の効果もないことは前回のコロナ給付金で学習済みでしょう。何回無駄に公金使えば気が済むのか?
「賃上げ、賃上げ、賃上げ」とか言ってる党もあるが、賃上げしたってそれ以上に天引きされているんだから意味ない。もちろん、賃上げを否定するものではない。だが、賃上げできる余裕のうる企業というのは3割の大企業に限られていて、元々高いところかあがるだけで、この中間層の部分があがるものではない。
「反省、反省」などと言ってる党は論外だ。国会は子どもの学級会じゃない。行動して結果で示してくれよ、国会議員よ。与党も野党もどっちでもいいからさ。
まあ、国会は国会議員が各人の議員業を継続させればいいってだけのプロレス会場だから無理か。