
共感覚的を体験する装置を試してみた
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
先日、水口哲也さん率いるシナスタジアラボにお邪魔してきました。水口さんと言えば『セガラリー』や『Rez』などのゲームクリエーターとして有名ですが、最近はxR(拡張現実)や触覚デバイスを用いた音楽と映像を融合した新体験の創出を追求しています。
『シナスタジア X1 – 2.44』は2個のスピーカーと44個の振動子(アクチュエーター)からなる椅子状のデバイス。周囲には音楽と連動する照明があり、被験者はリラックスした姿勢で椅子に横たわり、目をつぶって体験します。
(実際のデバイス。頭から背中、腕、太ももと筋肉に沿うように振動子が配置されています)
オーディオに詳しい方は、5.1chと言えばピンとくるかもしれません。前方3個、後方2個にサブウーファーが1個により臨場感のある音場をつくるサラウンドシステム。『シナスタジア X1 – 2.44』の2.44の部分は、これに倣って名付けたとのことでした。
実際の体験は7〜8分ほど。2個のスピーカーから出ているとは信じられないほど、いろいろな場所から音が発生しています(しているように聞こえる)。耳の後ろであったり、肩甲骨のあたりだったり、しだいにどこから音が聞こえるのかは気にならなくなってきます。そして、自分自身が楽器になったような不思議な感覚が訪れます。光と音、そして身体の境界があいまいになってきて、すべてが一緒くたに「鳴っている」ような感覚です。
これまでに体験した近い感覚を例に出すと、非常に音響が良いクラブのど真ん中で目をつぶって踊っている状態。もしくは、アフリカンドラムのアンサンブルをしているときに盛り上がって長いループを続けている状態。(すみません、どちらもニッチすぎてわかりにくいですね)
さらに音楽のビートと振動がアップテンポになるにつれ、身体が浮いているような、下から上へと持ち上げられていきます。これはこれまで体験したことがないような不思議な感覚だったのでうまく言語化できないのですが、上昇しながら光につつまれていく感じです。このとき、なんとも言えぬ多幸感が湧き出すとともに、落ちたらどうしよう?という若干の不安感がありました。
終わった直後は、頭がクリアだけどリラックスしたような感じがしました。サウナ〜水風呂〜外気浴がおわったときの感じに近いように思えました。
水口さんによるとすでに1200人ほどの被験者がいて、身体データやアンケートなどを取得しているとのこと。今後はサイエンス側から分析をし、どのような効果があるのかを探求していくようです。
まさに「アートとサイエンスの交差点」に位置する『シナスタジア X1 – 2.44』。今後の展開がたのしみです!
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タイトル画像提供:Graphs / PIXTA(ピクスタ)