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「言葉の選び方」こそが、個人の力を左右する時代

「文章を書くのは苦手で…」では、もう済まされない世の中になっていると思います。「話をするのは得意だからそれでいいや」、ではないということです。

というのも、ビジネスコミュニケーションの大半が、会話ではなくテキストのやり取りでなされる時代になったからです。


これは、ビジネスのみならず、普段の生活でもそうなりつつあります。今や皆さんの周りでも、会話や音声通話よりも、各種チャットツールやDMを使ったテキストコミュニケーション総量の方が圧倒的に大きいのではないでしょうか?

コミュニケーション強者とは「会話がうまい」という人のイメージがありましたが、いまやそうではありません。いくら会話がうまくとも、文章が残念な人はたくさんいます。そういう人は、これからのテキストコミュニケーション全盛時代において、人を動かすことができなくなってくるでしょう。

逆に「コミュ障」などと自分のことを自虐的に言う人でも、実は文章力が高い人は非常に多いのです。ネットコミュニケーションにおいては、そういう人たちはコミュ障などではなく、ある意味ではコミュニケーション強者だともいえるでしょう。そもそも、こういう言葉が市民権(?)を得られているのも、彼らのネット上での存在感の増大を表しているともいえます。



そういう時代において、重要なのは「言葉の選び方」です。状況に応じて、どのような言葉を選択すべきか。同じことを書くにしても、どのように表現すべきか。その選択ひとつによって、受け取る側の印象は大きく変わります。同じことを書いたつもりでも、ときには根本の「意味」さえ違って取られることもあるのです。

いくら重要な内容を伝えたとしても、表現の仕方ひとつで台無しになることもあります。ときには、思いもよらず敵を作ってしまったりもします。「たった一つの表現」の失敗で、時代錯誤をしている、自分中心、上から目線、思いやりの心がない、社会に適合していない… などという烙印を押されてしまうこともあります。これは、本当に大変に怖いことです。

「そういうつもりではなかった」と釈明しても後のまつりです。会話だと流されて終わりになることでも、テキストに落としたデジタル情報は、こちらで編集したり消したりしても、誰かがコピペやスクリーンショットで保存してしまうと永遠に残り続けてしまいます。下手すると、拡散・炎上という可能性すらあるのです。

そして、一度残してしまった悪い「印象」は、そう簡単には消えません。言葉選びに失敗して一定数の人に嫌悪感を持ってしまわれたとしたら、そこからの挽回は容易ではありません。こちらに悪気がなかったとすれば、たったひとつの表現の失敗でそこまで大変な状況になるのは不条理にすら思えます。

それだけ、「言葉の選び方」は、とても重要な選択だということです。特に文章は、それ以外の情報がありません。悪い言葉は、そのままストレートに、悪い方向に伝わってしまうのです。


逆にいうと、この「言葉選びの力」を磨くことが、「人を動かせる」ことにつながります。互いの信頼関係を醸成することもできます。同じ内容を書くにしても、言葉選びや書き方一つで大きく受け取り方が変わってしまう。であれば、これをおろそかにしてしまうのは極めて損です。

突き詰めれば、この「言葉選び」は、相手のことをいかに考えられているのか、ということに尽きると思います。言葉選びで失敗する人の典型、それは、「自分の書きたいことだけを書いてしまう人」です。テキストコミュニケーションがこれだけ重要な世の中において、これは致命的な結果を招きかねません。

もちろん、思ったことを素直に表現しようとする姿勢は重要ですし、自分の意見があればきちんとそれを表現すべきです。

しかしながら、それは「自分が気持ちよくなるために何も考えずにストレートに表現する」こととはまったく違います。ここを間違っている人がなんと多いことか、と思います。

コミュニケーションとは、相手(一人であれ大勢であれ)との言葉のやり取りです。だから、常に相手のことを考えなければなりません。そうでなければ、そのコミュニケーションは不全なものになってしまいます。

ズバッと気持ちよく断言したい、それはあくまで「自分が主役」という発想です。それでは、相手に意志がうまく伝わる訳がありません。最悪、反感だけ買って終わりです。相手は改心して行動を変えるどころか、ますます意固地になってしまうこともあるでしょう。


逆に、「相手が主役」と考えられた場合、それは非常に有効なコミュニケーションになります。そういう考えを持ってこそ、慎重に、「この場面ではどうのような言葉を使うべきか」を真剣に考えることができるのです。

相手が容易に理解できて、かつ素直に受け取れる、バランスの取れた、それでいて心に刺さる文章表現。それは、文章を書くときには常に全身全霊で考えなければならないことだと思ってます。

その地道な努力、そして訓練を重ねてこそ、やっと人と通じ合うことができる。自分の意志を正確に伝えることができる。そしてその結果、やりたい仕事や目標が達成できる。このことを肝に銘じて、日々研鑽を重ねたいものです。

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