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サントリー生ビールの、生活変化を読み解いたマーケティング調査からの学び

サントリーのマーケティング調査について紹介された記事を読んでいての学び、考えたことをまとめていきます。

調査で分かったのは、新型コロナウイルス禍によって、ビールの飲み方にも大きな変化があることだった。18年の時点では、帰宅直後の夕飯前にビール缶のプルタブをプシュッと開けて、12分程度で飲みきるのが一般的だった。ところが22年には、1缶を飲むのに要する時間は18分程度に延びたことが分かった。理由は、夕食を食べながらゆっくりビールを味わうという変化にある。

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価値観の変化を数字で捉える

調査結果の内容を図解すると、下記のようにビールと生活の関係が変わってきていることがわかったとのこと。

ビールの飲み方が変わってきている

マーケティング調査は1. 事実の発見→2. 仮説の定義→3. 価値への反映で整理

マーケティング調査の基本は、事実の発見→仮説の定義→価値への反映の3つだと考えています。

サントリー生ビールの開発で行われたマーケティング調査の内容を整理すると、下記のような

マーケティング調査は、1. 事実の発見→2. 仮説の定義→3. 価値への反映を整理するとまとめやすいです。

ビールから見る社会の価値観の変化が面白い

ビールに求められることが、ご褒美・気分転換から「ゆっくり過ごす」に少しづつ変わってきていることが興味深いなと感じています。

アサヒのマルエフが昨年末から市場・生活に浸透していますが、同様の変化だと感じています。

大場氏が語るように、アサヒビールはマルエフの商品コンセプトを「癒やし・ぬくもり・まろやかさ」に設定して売り出した。しかし、同社にはマルエフのように「温かみがある」コンセプトのビールは珍しい。そもそもビールに「ぬくもり」というコンセプト自体が斬新だ。同社の主力商品「スーパードライ」を考えればよく分かるだろう。ビールといえば、やはりキレや爽快感が消費者の心に刺さるのだ。

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生活の変化を可視化してみること

最近は、ユーザーインタビューやソーシャルリスニングをした後に、下記のような利用シーンがどのように変化してきているかを整理するようにしています。

時間軸で利用シーンの変化を可視化するシートのsample

小さな価値観・行動の変化を捉えて、ブランド価値に落とし込むことができるか?

この視点はマーケティング調査をする上で大切にしたいことです。

今の行動と心理をカスタマージャーニーマップで整理するだけではなく、過去と未来も含めた変化を可視化すると、何が今・これから求められてくるのかを考えやすくなります。


今回は、マーケティング調査から生活や価値観の変化を読み解くことについての考えを書いてみました。

以前に文化人類学視点をマーケティングの仕事に持ち込むことについて書きました。

気づきにくいような小さな変化を読み解く意識を、改めてマーケティングの仕事で大切にしたいと思っています。

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